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心配になる太り方
第一章

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                心配になる太り方
 ある日だった。
 主婦で近所のスーパーでパートをしている三島久美はテレビに出て来たある元プロ野球選手を見て驚いて言った。背は一五六位で色白で細面で明るい顔立ちだ。黒髪を長く伸ばし後ろで束ねている。実は最近太ってきたことを気にしている。
「えっ、この人こんなに太ってたかしら」
「おい、これは何だ」
 夫でサラリーマンの兼孝もテレビを見て言った、四角い眼鏡で長方形の顔をしている。目は丸く眉は細い。黒髪をオースバックにしている。背は一七〇程で腹が出ている。
「亀山さんだよな」
「ええ、亀山務さんね」
「今名前平仮名だよ」
「じゃあつとむさんね」
「これはまた太ったな」
 テレビに出て笑顔で話している彼を見てだ、夫は心配そうに言った。
「無茶苦茶な」
「そうよね」
「俺も腹出て来たけれどな」
 自分で言った。
「最近な」
「私もね」 
 妻も妻で言った。
「最近ね」
「太ってきたか」
「自覚してるわ、けれどね」
「ああ、亀山さんの太り方はな」
「凄いわね」
「昔は引き締まった身体でな」
 現役時代の彼のことを話した。
「足が速くてな」
「それで有名だったわね」
「そんな人だったのがな」 
 それがというのだ。
「またな」
「えらく太ったわね」
「大丈夫か」 
 夫は真剣な顔で言った。
「この人」
「そんな太り方ね」
「ああ、これはな」
 夫は心配そうに言った。
「県紺診断でな」
「引っ掛かる?」
「絶対な、命にもな」
 これにもというのだ。
「関わらないか」
「そんな太り方ね」
「心配だよ、俺この人好きだし」
「私もよ」
 二人共阪神ファンなのでこう言った。
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