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レーヴァティン
最終話 世界を見守ることをその七

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「俺達はな」
「そうした趣味はないな」
「何築かせるんだよ」
 英雄に問う様にして言った。
「一体」
「もう宮殿や城があるな」
「住むな」
「それならだな」
「幾らいいもの築いてもな」
 久志はさらに話した。
「災害があったらな」
「地震なり台風なりな」
「火事でも雷でもな」
 こうしたものが起こってもというのだ、二つの浮島でも災害は起こる。戦はなくなろうともこちらの危機があるのだ。
「何かあればな」
「壊れるな」
「ああ、どんな宮殿建てても」 
 例えそうしてもというのだ。
「地震でな」
「崩れるな」
「そうだろ、それじゃあな」
「どれだけ立派なものを建ててもな」
「意味ないだろ」
「その通りだ」
 英雄もそうだと答えた。
「だから俺もだ」
「必要なもの以外はだな」
「築かない」
「そうだよな」
「本朝では建築に凝った人間もな」
「あまりないな」
「豊臣秀吉さん位だ」 
 権力者で建築が好きだった者はというのだ。
「大坂城に聚楽第にな」
「伏見城にな」
「そうしたものを築いた」
「そうだったな」
「だがあの人位でな」
「他の人達はな」
「これといってだな」
 日本の歴史で建築が好きだった権力者はというのだ。
「いないな」
「そうだよな」
「やはり本朝は災害が多いからな」
「それですぐに壊れるしな」
「事実江戸城もそうだったな」
「天守閣火事で燃えたな」
「そうなっている」
 その為今も江戸城には天守閣がないのだ。
「そうだ」
「それ故にだったな」
「そしてだ」 
 それでと言うのだった。
「俺達もだ」
「その国の人間だからな」
「そうしたことにな」
「興味がないな」
「贅沢は色々あるが」
 それでもとだ、英雄は話した。
「権勢がある者のそれで最も国を傾けるのはな」
「建築だよな」
「多くの金と人手を使うからな」
「それで国を傾けるな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうなるからな」
「それで多くの国が傾いたな」
「そうなった、だからな」
「俺達にそうした趣味はなくてか」
「それでだ」
 その為にというのだ。
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