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レーヴァティン
最終話 世界を見守ることをその六

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「全く違う」
「そうだよな」
「劉禅は暗君だったかも知れない」
「自分ではこれといって何もしてないしな」
「ただだ」 
 まさにというのだ。
「印を押すだけのな」
「皇帝だったな」
「自分から何かをしない」 
 政のことはだ。
「家臣達に任せてな」
「本当に印押すだけだったな」
「ただ家臣の邪魔はしない」
 三国志演義では孔明の足を引っ張っていたが史実では皇帝として彼への誹謗中傷を許さなかったとの記述がある。足を引っ張ったとの話もない。
「そして信頼してだ」
「任せるな」
「実は宦官も然程重用していなかった」
 これも演義に主にある話だ。
「遊びに耽ることもだ」
「あまり、だったな」
「そして残虐さもなかった」
「それじゃあ暗君でもな」
「かなりましとだ」
 その様にというのだ。
「言える」
「劉禅はな」
「これ位ならだ」
 例え暗君でもというのだ。
「ましとだ」
「言えるな」
「暗君は案外幅がありな」
「劉禅はましな方だな」
「かなりな、少なくとも統一された国の主ならな」
「国は滅ぼさないか」
「明の万暦帝は国を滅ぼしたが」
 明史に明を滅ぼしたとあるこの皇帝も暗君とされる。
「その万暦帝と比べるとな」
「本当に劉禅はましだな」
「そうだ、むしろ凡君とだ」
「言った方がいいか」
「そうかもな」
 こう久志に話した。
「劉禅はな」
「案外駄目じゃないんだな」
「だからせめてだ」
「劉禅になるべきか」
「少なくとも今のムーもアトランティスも滅ぼさないな」
「あれ位だとな」
「最低でもだ」
 どう低くあってもというのだ。
「劉禅になるべきだ、そしてだ」
「名君であるべきだよな」
「やはりな」
「そうだよな、どうせなるならな」
「これまでもそのつもりでやってきてな」
「今がある、だからだ」
 それ故にというのだ。
「いいな」
「ああ、それじゃあな」
「治めていくぞ」
「これからもそっちにも励むか」
「そして疲れた時はだ」
「楽しむことか」
「今の俺達の趣味なら楽しんでもだ」
 例えそうしてもというのだ。
「国を滅ぼさないからな」
「国を滅ぼす趣味な」
「建築に凝るとかな」
「それな、世界的にはな」
「権力者の病と言うな」
「ああ、けれどな」 
 久志は首を傾げながら話した。
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