§11 ヴォバン戦、あとしまつ
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て根回しも済んでるみたいなんだよ。夏休みの間どこかに身を隠さないと無理矢理」
「……行けばいいじゃん。っかこんな時間に惚気かよ」
「こんな計画に付き合ったら待ってるのは破滅だろうが!!」
護堂の台詞を途中で遮り提案するもあっけなく却下される。しかしなぜ破滅なのだろうか。相思相愛なら破滅どころか幸福へ一直線だと思うのだが。
「まぁ確かに結婚は人生の墓場っていうけどさぁ」
「だろ!?」
我が意を得たり、とばかりの護堂にさらっと一言。
「なるほど。つまりもうしばらく美少女を侍らせる生活を続けたい、と。流石外道な護堂先生。そこに痺れるけど憧れねぇ。いっそ地獄にでも行けば流石のエリカさんも追ってはこれな……おっとごめん、本音が出た」
「お前俺に恨みでもあるのか!? すげぇ黒いぞ!!」
流石にここで肯定するのは可哀想だと思い沈黙を選ぶ。この場合は肯定と同じ意味になってしまう気もするが直接言うよりはいいだろう。
「……」
「れーとぉぉぉ!!」
「護堂、こんな夜更けに近所迷惑だよ。こっちも耳が痛い」
護堂の叫びで耳が麻痺した黎斗は、しかめ面で抗議する。
「誰のせいだ誰の!! ええい、話がすすまん! そういう訳だからどこか潜伏場所でよさそうなところ探しておいてくれ。俺も探すが黎斗は転校してきたんだからここ以外の地理も詳しいだろ? 前住んでいた土地とか」
そんじゃな、と一方的に通話が切れる。たしかに転校してきたが前黎斗が住んでいたのは幽世だ。そんなところに招けとでもいうのだろうか。あいにく他人を連れて幽世へ行けるほど魔導に熟練していないのでそれは無理な話だ。
「故郷は日本海側なんだけど…… 夏休みにもう一度、行ってみようかなぁ」
パンドラによれば黎斗にとってここは平行世界ではなく過去の世界らしい。本来ならば存在すべき家族が居ないのは黎斗のしてきた行動によるバタフライ効果が積み重なった結果とのこと。事実、元の世界で東京タワーが炎上した、という噂を聞いた記憶がある。ネットで映像が流れて荒れに荒れた事件だ。すぐに消されたらしく動画を直接見ていない黎斗はデマだと思っていた話。真相はこれだったのか。
「マスター、どうしました?」
微妙な雰囲気を感じ取ったのか、エルがこちらへ視線をよこす。
「んー、夏休みどうしようかな、って話」
「恵那夏休みは山篭りしなきゃなんだー。いくらこの部屋が聖域ビックリの場所になってても、恒例行事だから、ね。れーとさんもどう?」
たったいま風呂から上がったと思われる恵那が会話に参入する。湿気を帯びた髪と上気した顔が色っぽい。物騒な刀を持っているだけでそれも台無しなのだけど。これが危ない色気、というやつだろうか。
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