第2部
ダーマ
シーラの意志
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た。
「俺はユウリ。アリアハンの勇者だ」
『!!??』
その一言に、大僧正だけでなく周囲の僧侶たち全員が驚愕した。
「ゆ、勇者だと!? 勇者がこんな野蛮なことをするもんか!!それに、転職のできない人間がこのダーマの地にいる理由がない!!」
「ああ、もちろん転職しにここに来た訳じゃない。ここに来たのは、俺の仲間を連れ戻すためだ」
「仲間……?」
大僧正の視線の先には、立ち尽くしていたシーラの手を握っているユウリの姿。それは明らかにシーラが勇者の仲間だということを体現していた。
「う、嘘だ!! こんな遊び人風情が勇者の仲間な訳がない!! この……、勇者の名を騙る偽物めが!」
ああもう、『嘘だ!』 しか言えないのか、この人は!
「偽物なんかじゃありません!! 彼は正真正銘、本物の勇者です!! 私も彼と一緒に、アリアハンからシーラと一緒に旅をしてきました!!」
たまらず私もシーラをかばうように前に出て言い放つ。
「お、お前はさっきの……」
さっきぶつかった人が私だと気づき、ぽつりと呟くマーリン。ていうか、『お前』というあたり、すでに本性が垣間見えている。
「シーラは私たちの仲間です!! これ以上私たちの仲間を悪く言わないでください!!」
「ミオちん……!!」
私が現れたことで、シーラの涙腺がさらに緩くなる。そこへナギもやってきた。
「お前ら……、出てくんのが遅えんだよ!!」
「ふん。お前が機転を利かせていればこんな面倒なことにはならなかったんだ」
ナギの文句を受け流すユウリ。あんなこと言ってるけど、本当はずっと助けたくて仕方がなかったはずだ。
全員揃ったところで、場の空気が一変した。それは僧侶たちも感じたようで、シーラとナギを拘束していた僧侶達が次第に後ずさりしていく。
「シーラ。もういいよ。転職なんてしなくていいから、一緒にここを出よう?」
そう言うと私もまた、もう片方のシーラの手を握る。けれどシーラは、首を横にふるふると振った。
「ダメだよ。遊び人のままじゃ、魔王には勝てない。それはあたしが一番よくわかってる」
「シーラ……」
そんなことないよ、とは言えなかった。確かに遊び人である以上、魔王はおろか、魔物とまともに戦えることも出来ない。それは本人であるシーラが何よりも感じていたことだ。
「でも、無理に戦わなくてもいいんじゃない? 私も前よりレベルアップしたし、シーラの分も戦えれば……」
「それじゃダメなんだよ!!」
「っ!!」
シーラは強い口調で、私の提案を一蹴した。
「二人と別れるときに誓ったもん、強くなるって。それに、誰かに守られるだけの人生はもう嫌なの。あたしは、ユウリちゃんの仲間として、皆と一緒に戦いたい!」
涙を振り払いながら言い放つ彼女の言葉は、心からの叫びに聞こえ
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