第七十三話 【カンピオーネ編】
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
紫色をしたクリスタル。それをチェーンにくくりつけ、首から提げている。
彼女のデバイス、レーヴェである。
そんな彼が彼女の意を汲んであの一瞬で行使した魔法。
それは封時結界の魔法だった。
展開されたそれはユカリを結界内に取り込むと、それ以外をはじき出した。
つまり、空間をずらしたユカリは一歩も動かずしてアテナから逃げおおせたのである。
しかし、これも一種の賭けであった事は否定できない。
オーラを行使しているように見えたアテナだが、魔導師としての技術も持ち合わせていたら、おそらくこの結界内に割り込んできた事だろう。
それが無いという事はひとまずは安心か。
「とりあえず結界を家の方まで伸ばして、結界内で帰ろうか」
『了解しました』
「それにしても彼女、やばかったわ」
『そんなにですか?』
「ええ。蛇を探してるって言ってたけど、多分今日見たアレよね」
『心当たりがあるのですか?』
「まぁね、草薙護堂。ウチの学校で一際オーラの激しい人物よ。武道の心得があるようには見えなかったけれど…」
とは言え、ユカリには護堂に連絡を取る術が無い。
「……明日、無事に彼が登校してきたら、それとなく注意するしかないわね」
その後の方針を決め、結界内を帰路に着いた。
住宅街にある古めかしいこじんまりとした一軒屋。
ここがユカリの家だ。
坂上紫は現在都内で1人暮らしをしている。
両親はユカリが小学校の頃に交通事故で他界している。
彼女が生きてきた時間は既に膨大で有り、両親が残してくれたお金で大学を卒業するくらいはあったために1人暮らしをはじめた。
その時に家の権利やらなにやらと持っていこうとした親族とのイザコザを両親の知り合いだという高齢の男性が取り持ち、押さえ込んでくれた。
中々男気溢れる男性で、高齢でなかったら是非ともお付き合いしたいほどの人だったが、すでにユカリと同じくらいの年の孫までいるという。
そんな彼とは正月に年賀状を出すくらいの付き合いは続けている。
そう言えば彼の苗字も草薙だったな…などと、ふとした事でユカリは思い出した。
そんな感じなので当然、誰も出迎えない。
ひんやりとしたドアノブに手を掛け、家の中に入る。
今日は中々に面倒ごとに立ち会う一日だった。
面倒ごとが現在進行形で起こっている気がする。
まだ気を抜けそうに無かったが、そろそろ夕飯時だ。
今日はもう外出するのもおっくうなので、冷蔵庫の中身と相談して今日のメニューを考えるとしよう。
とは言っても、1人暮らしであり、1人分の夕食を作るというのは凄く寂しい物なのではあるが…
やはり、ご飯は誰かと一緒に食べ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ