第七十三話 【カンピオーネ編】
[1/14]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
城楠高校一年六組に在籍する坂上紫の周りからの評価は、残念な美人である。
容姿端麗な彼女は告白される事もしばしばある。
サッカー部のキャプテンや野球部のエース、さらには学校内イケメンランキングで一桁に入っていそうな美男子が次々に告白してこようが、一向に首を縦に振る事はなかった。
別にユカリが恋愛と言うものに興味が無い訳ではない。
むしろ大いに有ると言って良いかもしれない。
しかし、ユカリにはどうしても譲れない唯一つの条件があった。
今まで告白してきた男子のその全てがその条件を満たしていなかっただけ。
だが、普通の高校生にユカリの出す条件を満たす事など不可能だろう。
なぜなら…
「私は今すぐにでも子供が欲しいの。あなたに私と子供を養うだけの生活基盤はあるの?」
これが最近の告白に対するユカリの返事である。
この発言が浸透した結果、ユカリは残念な美人の称号を獲得したのだ。
子供の恋愛なんて未来を考えないその時だけのもの。
好きだとか、ただ一緒に居られればとか、そんな物では子供を育てる事は出来ない。
高校生の彼らがしっかりとした生活基盤が出来るまであと何年かかるだろうか。
高校が3年。大学進学で4年。さらに就職し、安定を得るまで数年。
およそ10年と言った所だろうか。
ユカリはそんなに待つつもりは無いのだ。
坂上紫は今すぐにでも子供が欲しいのだから。
…
…
…
高校に入学して二ヶ月がたった。
わずらわしい告白に辟易する事もしばしばあったが、最近はそれもどうやら落ち着いたらしく、平穏な学生生活を過ごしていたユカリだったが、ここに来て嫌な感じの物が学校に持ち込まれている事に気がついた。
それの持ち主は入学当初からそのオーラの強さから密かに注視していた人物だった。
草薙護堂。
この春入学した男子生徒で、彼の纏うオーラの鮮烈さは名状しがたい物がある。
再び地球に生まれついて15年。
自分でもこの世界のことをいろいろ探ってみたが、御神の家や、海鳴と言う名の街が存在しない事などを確認した後、自分達がいた地球では無いのではないか?と判断し、後の考察は自分の息子に任せようと、保留して今に至る。
その間も超常のあれこれとは無縁に暮らしてきたので、そう言った物は存在しないのではと思ってきたのだが…
それが覆されたのが前述の草薙護堂だ。
とは言え、特に彼とは接点も無く向こうはこちらに気がつかないので特に問題なく暮らしていたのだが…今日、廊下ですれ違った草薙護堂の胸の辺りから漂う強烈なオーラを感じたのだ。
直ぐに『凝』で見てみれば、胸ポケットの辺
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ