フェアリー・ダンス編
新世界編
時は満ちて、
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で役割を決める。
そうこうしている内に結城家から人が2人出てきた。俺は新たに調達した何の仕掛けもないレンタカー(ここまで乗ってきた車は回収済)の後部座席のドアを開け、2人を出迎える。
乗車を確認すると、自分も乗り込んで、蓮兄が車を発進させる。
目的地は所沢の民間医療機関だ。もちろん、最新最高そして最高級の病院だ。昨日ネットで調べたが、何だアレは。高級ホテルかよ。俺なんか小汚ない地下施設でダイブしてたんだぞ。
……それはともかく、彰三さんと椅子越しに話が弾んでいるというのに、隣の京子さんから発せられる不機嫌オーラは何ともまあ居心地悪い。
途中で渋滞を回避した割りには少しの時間で病院に到着した。
ロビーに入ると高級ホテルよろしくの内装が目を引くが、仕事モードになった意識で表情をキープする。
布陣は蓮兄がロビーに待機。俺が病室の前まで同行するというものだ。
最上階(これが意味することは最早、説明要らずだろう)の突き当たりの部屋。そこに結城明日奈の病室はあった。
「……それでは、私は廊下でお待ちしておりますので」
そう言って扉に背を向けると、明日奈の母、京子さんが初めて声を発した。
「あなた、あのゲームの中でこの子と知り合いだったんですって?」
「あ……はい。お嬢さんにはお世話になりました」
「それだったら、あなたも中へどうぞ」
「は……?い、いや、そういう訳にはいきません。何分、仕事中の身ですから……もし、ご許可を頂けるなら日を改めてお伺いしたいのですが……」
「固いぞ、螢くん。この子もきっと喜ぶ。来なさい」
「………はい」
そこまで言われちゃ抵抗するのもおかしい。
俺は軽く頭を下げると2人に続いて病室に入り、カーテンの向こうに入る。
――ああ……。
記憶のそのまま、いや、それより美しい彼女が静かに眠っている。頭に被っているのは無骨なヘッドギア――ナーヴギアだ。
「……よう、アスナ」
俺の心は瞬時に一ヶ月前に戻っていた。今は無きアインクラッドの22層のキリトとアスナのログハウス。
ある日の夕方、3人で他愛のない話をしながら夕日を眺めていた。
聞こえるのは風の音と木々が擦れる音。ただただ穏やかだったあの2週間。俺は2年に及ぶあの世界の中であれほど心休まる時間を過ごしたことは無かった。
2人は未来永劫幸せに暮らす権利がある。普通の人には負えないほどの絶望を背負いながら必死に生き延びたあの2人には……。
『……2人は何時如何なる時も俺が守ってみせる。これは絶対の誓い、何があっても破られることはない。2人に害をなすものは何人たりとも許さない。必ず、守り通す』
2人にはそ
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