フェアリー・ダンス編
新世界編
時は満ちて、
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らず。そこらにいる下手なエリート連中より、成功する器ですよ。あいつは」
「うーむ……」
眉間に皺を寄せる彰三を観察する。父親の心情としては娘には幸せになって欲しい。故に、学歴のきちんとした立派な男性と一緒になって欲しい。といったところだろう。
無論、その気持ちは解らなくもない。だが、個人的な感情としてはあの2人を離れさせたくない。
「彰三さん、私はまだ16になったばかりの若輩者で個人的な感情もあり、どうしても2人に幸せになって欲しいと思ってしまいます……何はともあれ、まずは現状を打破しなければなりません」
「ああ。分かっている。……そろそろ行かねばな。京子さんがイライラしてそうだ」
「少々お待ちを……蓮兄、時間だ」
耳につけてあるイヤホンマイクに囁くと、エンジンスタート音と了解の言葉が帰って来た。
「彰三さん、参りましょう」
「……………」
彰三さんは何故かこちらをじーっ、と見ている。……な、何だ?
「……どうされましたか?」
「螢君、君は料理は出来るかね?」
「……は?……えと、自炊は一応出来ますが……?」
「君達に依頼をすると、何もかも効率が良くて、秘書要らずになるのは、料金と不釣り合いなほどなのだが……」
「……ぶっちゃけちゃえば本業でがっぽり稼いでますからね。うちは」
「うーん、進路は執事なんてどうだい?」
「……執事ですか、日本にいるんですか?そういう人種……」
ていうか俺、燕尾服似合うのだろうか……探偵服は引かれたが。
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先程と同じ布陣で車を走らせて着いたのは世田谷の高級住宅街。お洒落な煉瓦の舗装が印象的な場所だ。ここは俺も何度か来たことがあり、その度に思うのが―――
(何だか、場違いだなぁ……)
家が豪邸ばかり、というわけではない。むしろ豪邸なら見慣れているが、ここは何だか空気からして高級感があるように思えるのだ。
ところで、何故ここに居るのかというと、何を隠そうここが彰三氏の自宅がある場所だ。
そして、ここからはあくまでプライベートなことなので、護衛は俺達だけになる。
「んー、どーする?」
「……あのねえ、蓮兄。行程表は事前に貰ってるでしょう?何で考えとかないのさ」
「だって今回螢が居るから細かい所は気にしなくて良いかな〜、と思ってさ」
「……………」
その頼り方は俗に『丸投げ』と呼ばれるものだ。
しかし、この兄に何を言っても無駄なのは重々承知なので、やむなくその場
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