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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#02 "She grins from ear to ear"
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掛ける俺に返されたのは完全に呆れたといった彼女の顔。
俺、そんな変な事言ったか?

「あのよう、折角こんな海ん中まで潜って来たんだぜ。そんなチンケな絵一枚持ち帰ってどうすんだよ。
何か他にお宝でもねえか、ぐるっと中を見てくるぜ」

ちょっ、それって!
まるで墓場泥棒じゃないか。

目を見開きそう叫びそうになったが、実際に俺の口から出たのは声にもならない空気の音。
だって実際この絵を持ち帰ろうとしている俺たちは、正にその墓場泥棒以外の何者でもないのだから。

「そこに転がってる艦長の野郎を見てみな。ソイツが付けてんのなんざ柏葉剣付十字章のはずだぜ。ダイヤ付きの代物さ。こんなとこで魚に食わすにゃ勿体なさ過ぎる、ってもんだろ」

レヴィ…

そう語る彼女の顔は喜びに満ちていた。
嬉しくて、楽しくて、堪らないって顔を、彼女は、レヴィは、浮かべていた。

暗い闇の中、笑みを浮かべたまま彼女は言葉を発し続ける。

「取るもんとったらすぐ戻ってくっからよ。お前はあんまり動き回んねえようにしな。酸素が減るからな」

そう言って部屋を出ていくレヴィを俺は黙って見送ることしか出来なかった………



















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