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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#02 "She grins from ear to ear"
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時に、仲間割れなんざしねえよ」

そういう、もんなのか。

レヴィって意外と、と言ったら怒られるかもしれないけど、仲間同士の繋がりとか大事にするタイプなのかな?

「まあ、先にキレちまったのは、 そこの秘密警察(ゲシュタポ)野郎だ。間違いねえよ。 "部外者"以外がこんな悶着起こすはずはねえ。
そんで、銃声聞き付けた部下連中が押し寄せたんだろうよ。
慌てて部屋を覗いてみりゃ艦長殿は撃たれっちまってる。犯人は目の前の糞将校殿しかありえねえ。
後はご覧の通りの結果さ。はっ、とんだ感動ドラマだね」

「………」

レヴィの話を聞き終わり、俺も部屋の捜索を始めることにする。
だが、暗い部屋の中を絵を求めて動き回りながらも、頭ではレヴィの話を反芻することを止められずにいた。

艦長の為に駆け付けた部下たち。
彼らは最期の瞬間に何を思ったのだろう。
艦長を殺した将校への怒りか。
任務を果たせなかった事への悔恨か。
祖国に残してきた家族の未来の事だろうか。
この艦と共に過ごしてきた過去だろうか。
それとも………

「………」

俺が日本人だからだろうか。
何だかこの場所がとても神聖な侵してはいけない場所に思えてきた。
艦長の為に戦った部下の人達。
それほど敬い慕われていたであろう艦長。
そんな気高い彼らが眠る場所で、 俺がやっている事って…

ジャリッ……

思わず唇を噛み締めていた俺の手に砂まみれの何かが当たる。

これは、取っ手か?
怪訝に思いながら手に触れたものを思いきって引き寄せてみる。
顔の前まで持ち上げて見てみたそれは、

「トランクケース、か?」

古びて埃まみれになってはいるがそれは紛れもないトランクケースだった。
ちょうど書類を入れるのにちょうど良いようなサイズの。

「レヴィ!」

「どうしたロック!見つけたか?」

レヴィに向けて一声叫んだ後、急いでトランクを開け中を確認する。
さて、これで違っていたらまたレヴィに怒られそうだけど………

中に入っていたのはどうやら一枚の紙のようだった。
恐らくは半世紀振りに取り出されたであろうその紙に対し、レヴィが俺の横に来てライトを当てる。

少し埃にまみれてはいるが、どういう絵柄かは確認出来る。
どうやら、

「よっしゃ!ビンゴだぜ、ロック。目当てのやつだぜ。
そいつはとっとと梱包しちまいな。大事な(ブツ)だ。濡らさねえように慎重にな。
アタシは残りを片付けてくるからよ」

残り?

レヴィの言葉に頷きかけ、慌てて部屋を出て行こうとする彼女に向かって呼び掛ける。
仕事はもう終わりじゃないのか?

「え?この絵を持ち帰る事が俺達の目的だろ。他にまだ何か用があるの?」

問い
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