第一章
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らないで並んでたのか!?」
男が、あきれたようにつぶやいた。
「…『MOGMOG』とかいう大変なセキュリティソフトってことだけは…」
MOGMOGを買って来い。そう言われて、僕はこの封筒を貰った。なんか凄い機能満載で、しかも可愛い女の子がパッケージに使われていて、「業界の新スタンダード!」とまで言われている…とだけ聞いている。僕はとりあえず、2ヶ月前にウイルスバスターを更新したばっかりだから、たいして興味はないので、そう言った。
「なにを言う、ウイルスバスターとは別格だぞ!…なんだよ、その興味ゼロって顔。どんなソフトか知りたくないのかよ」
「知りたくない。知って欲しくなっても金がない」
「まぁそう言わずに聞け、暇だろ。…この『MOGMOG』って名前だけどな。ぶっちゃけ『モグモグ』、つまり食べるって意味だ」
「……食べる?」
「あぁ。このソフトが業界新スタンダードと言われている理由はそこにある。…最近、ウイルスの進化にワクチンの開発が追いついていないだろ。そこでだ。このソフト『MOGMOG』には、『消化機能』が搭載されている」
「食べて…消化すんの?」
「そう。不測のウイルスが侵入したら消化…解析して、ワクチンを自分で作り出す」
……す、すごい!それが出来たらもう怖いサイトはないな!…でも…
「…でも、ワクチンってすぐ出来るわけじゃないでしょ。ワクチン開発までに少し手間取ったり、その間にウイルスが悪さしたりしないの?」
「まぁな。でももちろん、それを補うためのシステムもある!…MOGMOG同士の口コミシステムだ」
「口コミシステム!?」
彼が嬉しそうに語るには…ウェブやメールのやり取りのさいに接触するMOGMOG同士が、自分が今まで解析したウイルスや、ウイルスの侵入経路(危ないサイトなど)などの情報をやりとりして、自分の中に蓄えていくそうだ。そんならMOGMOGサーバーでもつくって全部共有すればいいじゃん、と思ったけれど、そうなるとそのサーバーがターゲットになってMOGMOGが一網打尽にされる可能性があるから、念のため個別の情報交換システムを採用したらしい。だから、ネットに接続すればするほど優秀なセキュリティソフトに進化していくのだ。
……やばい、超ほしくなってきた……
「行列の理由が分かっただろう。セキュリティソフトとしては破格の値段だけどな」
「えっ…いくらするの?」
「聞かないで来たのか!?…えっと、金持ってるよな」
「うん、封筒に。……そういやいくら入って……げっ!!」
1枚、2枚、3枚、4枚……!!4万円!?
毎月の食費の倍額じゃないか!!
「そっ…そんなっ……!?」
「3万5千円だ。…5千円はお前への報酬か。他人事ながら腹の立つ奴だな」
「そりゃ凄いソフトかもしれない
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