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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第44話:少女の秘密
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です?」

「昼間に受け取ったヴィヴィオのDNAデータだよ。
 一致するのがないか調べてくれないか?」
 
「いいですけど,どれくらいの範囲で調べます?」

「データがある限りはすべて」

俺がそう言うと,シンクレアは軽くため息をついた。

「時間かかりますけど,そこまでする必要あるんですか?」

「この世界に無駄な調査なんてないよ」

「そうでしたね。久しぶりに言われましたよ,その言葉。
 最近は俺が言う側でしたしね」
 
「ま,特務隊のスローガンみたいなものだからね」

「そうですね。あとは,隠密こそ我が使命でしたっけ」

「ヴィンセンス部隊長か・・・懐かしいね」

ヴィンセンス部隊長は俺の前任の特務隊部隊長で,俺やシンクレアに
特務隊員としての技術を一から叩き込んでくれた恩人だ。

「あの人がいなかったら,今の俺は無いね」

「それは俺もですよ」

シンクレアは自分のビールを煽ると,少し真剣な表情になった。

「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

「なんだ?」

「ゲオルグさんは,高町一尉のことをどう思ってるんです?」

「不躾だね」

「すいません。でも答えてくれません?」

「・・・友達だよ」

「嘘ですね」

「嘘ではないな」

俺はそう言うとシンクレアに背を向けて手すりにもたれかかった。

「嘘ではないよ」

俺がもう一度そう言うと,シンクレアは小さく首を振った。

「ゲオルグさんだって高町一尉の気持ちには気づいてるでしょ?
 それに,ゲオルグさんだって・・・」

「だから何?俺にどうしろって言うの?」

シンクレアの言葉を遮ってそう言うと,シンクレアは少し苛立ったようだった。

「応えてあげないんですか?」

「俺じゃだめだよ」

「何でです?お互いに好きならいいじゃないですか」

「そういう問題じゃないの」

「じゃあどういう問題なんです?」

俺は小さくため息をつくとシンクレアの方に向き直った。

「あいつはさ,真っ白なんだよ」

「どういう意味ですか?」

「陰謀とか策略とかそんなの抜きで,真っ直ぐ相手に向かっていける
 奴なんだよ,あいつは。
 で,俺は一人の友人としてあいつのそういうところが好きだし,
 変わって欲しくないと思ってるわけ。
 でも俺は,陰謀とか策略にどっぷり浸かってきたし,数え切れないくらい
 人殺しもやって来た。だから,俺があいつに触ることであいつを
 汚しちまうんじゃないかって怖いんだよ」

「そんな風に考えてたんですか・・・」

「まあね。ヘタレって馬鹿にしてくれてもいいよ」

「馬鹿にはしませんよ。でも,もうちょっと高町一尉の
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