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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第44話:少女の秘密
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ていた。

「こらあかんわ。嫌われてしもたみたいや」

はやてが苦笑しながらそう言うと,なのはは女の子の頭をやさしい手つきで
なでながら俺たちの方を見た。

「この子はヴィヴィオっていうみたいだよ。自分でそう言ってたから」

「なあヴィヴィオちゃん。なのはさんはもう帰らなあかんから,
 離してあげてくれへんかなぁ」

はやてがそう言うと,ヴィヴィオは泣きそうな顔になって,
なのはの足に顔を押し付けた。

「ヴィヴィオ。なのはさんはもう帰ってお仕事しなきゃいけないから,
 離してくれないかな?また明日も会いに来るから」
 
「やー!」

なのはは自分の足からヴィヴィオの手をやさしく引き剥がして,
しゃがみこむと,ヴィヴィオの手を握ってそう言った。
だが,ヴィヴィオは意地でもなのはを離そうとしない。

「こら無理やな。しゃあないから,隊舎に連れて行こか」

「いいの?はやてちゃん」

「こうなったらしょうがないやん。ま,危険はなさそうやしかまへんやろ」

はやてがそう言うので,なのはがヴィヴィオについて来るか尋ねると,
ヴィヴィオは満面の笑みで頷いていた。

「なんか納得いかんわ。何なん?この差」

「純真な子どもの目でみれば誰が一番きれいな心かわかるんでしょ。
 小狸なはやての邪悪な心が見透かされたんだよ」
 
「・・・ゲオルグくん」

俺が冗談交じりに言うと,はやては少し俯いて俺の方を見た。

「ん?なんでしょ」

「昨日の戦闘報告書,今日中に提出」

「は?もう夕方だぞ。無理だよ」

「・・・聞こえへんかったんかいな。耳悪いなぁゲオルグくんは」

「ひょっとして怒ってらっしゃる?」

「怒ってへんよ。ただ,腹いせに嫌がらせをしたいだけ」

「そういうことするから,ヴィヴィオがなつかないんじゃないの?」

「ふーん,そんなにゲオルグくんは仕事が好きなんか・・・
 いっそのこと本局に出す報告書も全部ゲオルグくんに書いてもらおっか」

「・・・勘弁してください」

結局,はやてに土下座をして謝るまで俺は許してもらえなかった。



夜になって,隊舎に戻り副部隊長室で溜まった書類仕事を片付けた俺は,
屋上に上がって,空に浮かんだ2つの月を眺めながら,タバコをふかしていた。

「ゲオルグさん」

声のしたほうを振り返るとシンクレアが2本の缶ビールを持って立っていた。

「飲みません?」

「いいねえ,いただくよ」

シンクレアから缶ビールを受け取ると,封を開けてシンクレアのビールに
コツリと当てた。
ビールを一口飲んでから,制服の内ポケットから1枚のチップを取り出すと
シンクレアに向けて差し出した。

「何
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