第七章
[8]前話
「それだけならね」
「誰にも何も言われないし」
「妖怪も言わないから」
「いいね」
「そうね、それじゃあ」
「楽しもうか」
「最初は何着たらいいの?」
「浴衣はどうかな」
誓一郎はこのコスプレを提案した。
「まずは」
「浴衣ね」
「軽い準備体操で」
「準備体操なのかしら」
「まあそう考えて」
そのうえでというのだ。
「今から楽しもう」
「それじゃあね」
誓一郎はトランクス一枚になり結衣は服を脱いで浴衣に着替えた、そうして灯りを消してそのうえでだった。
二人はじっくりと休んだ、即ち楽しんだ。二人で休憩を堪能してからホテルを後にした。誓一郎はホテルを出たところで結衣に言った。
「また行こうか」
「安いのがいいから」
「だからね」
それでというのだ。
「またね」
「いいわね、コスプレもね」
結衣は顔を赤くさせて話した。
「実は私もね」
「よかったんだ」
「いつもと違う感じだったから」
楽しむにしてもというのだ。
「だからね」
「まただね」
「行きましょう、妖怪がいて見られても」
「何もしてこないならね」
「いいから。妖怪もどんなものかわかっていたら」
それならというのだ。
「別にね」
「怖くないからね」
「むしろ楽しい存在よね」
「そうだね、それじゃあ」
「ええ、またね」
「あのお部屋行こうね」
「そうしましょう」
二人でこうした話をしてから難波に戻った、結衣はやはり人込みは苦手だがそれでも今は悪い気はしなかった。彼と二人で楽しんであらゆる意味で満足出来たのでそうであった。
大阪の目目連 完
2022・12・30
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