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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
お兄様は妹を助けたい話
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でしょ。僕達兄妹だって。」
「で、ですが…。」
「ゴッホちゃんがもう僕をお兄様だなんて思ってなくても、僕はずっとゴッホちゃんを可愛い妹だと思ってる。」
「……。」

瞳が揺れている。
唇が震えている。
そうして、押し殺してた色んなものが、ドッと溢れ出てきた。

「ゴッホは…ゴッホは…!!つらいです!」
「…。」
「つらくてつらくて…!にげだしたくてぇ…っ!!」

それは涙になってどんどん溢れてくる。
僕はそれに何を言うでもなく、無言で抱き締めて背中をとんとんと優しくさすってあげた。

「もうこんなのいやだ…なんのためにゴッホはうまれたんだろうって、たくさん…たくさん悩みました!!」
「うん。そっか。」
「舞様…お願いが…あります。」

しばらく僕の胸に顔を埋めて泣きじゃくり、ゴッホちゃんは顔を上げる。
そして、答える。

「たすけてください。ゴッホを、地獄から救いあげてください。」

それが、聞きたかった。
それに対して僕がとる方法はただ1つ。

「うん。わかっ」
「何裏切ってんだ?クソバカの穀潰しがよ」
「っ!?」

頷こうとした瞬間、何者かによって言葉を遮られ、その後背後から衝撃をくらって倒れてしまう。

「…!!」

ゴッホちゃんに覆い被さるように倒れた僕は、慌てて後ろを見る。

忘れるはずなんかない。
この声は…!

「なんでお前がここに…!!」
「おいおい、俺は兄だぞ?人にお兄様呼ばわり強制しといて俺様にお前呼ばわりは失礼だろ?えぇ?」

後ろにいたのは、僕を蹴り飛ばしたのはあの葛城恋。

僕の、兄だった人。
正真正銘血の繋がった本物の兄弟だ。

「マ、マスター様!?ど、どうして!?」
「こいつの夢までの道のりはお前が残してくれた跡を追ったからな。ここまで来るのにさほど苦労はしなかったぜ。」
「…!!」

咄嗟に手が動く。
ペンを持ち、即座にこいつを殺せる武器を描こうとする。
が、

「おっと。」

奴が手のひらをかざすと、僕の右手が腐り落ちた。

「!?」
「てめぇらがやっすい兄妹ごっこしてる間にこの夢の支配権を強奪してやった。だからもうお前の夢は、俺様のものだ。」

迂闊だった。
以前、ユゥユゥに夢の世界の支配権を奪われたことを思い出す。
僕の自由は全て奪われ、何をし、ここをどう帰るかは全て支配権を持つ者に左右される。
そして、

「こんなしょうもねぇ世界、俺様色に変えてやるよ。」

パチン、と指を鳴らすと辺り一面にあった向日葵達が一斉に枯れ始める。
広大な黄色の絨毯は一瞬にして荒れた大地となり、さらには黄色い家も腐るように崩れ去った。

あたりの景色が、一瞬にして変わる。
薄暗い世界。
晴れ渡
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