第2部
ダーマ
半年振りの再会
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釈すると、他の僧侶たちと一緒に颯爽と去っていった。
「はあ。本当に大丈夫かな、あの子……」
それにしても、年の割に随分と礼儀正しい子だったな。やっぱり位の高い僧侶なのだろうか。
「バカ。こんなところで突っ立ってたら、また人にぶつかるぞ」
すると、いつの間にかユウリが戻ってきていた。どうやら機嫌も直っているようだ。
「あいつと何を話していた?」
どうしてそんなことを聞くのだろう。私は不思議に思いながらも正直に話した。
「何って……。私がぶつかったから、謝ったの。そしたら怒るどころか私のことを心配してくれて、そのまま行っちゃった。あの子、この神殿の僧侶だよね?」
「……お前、気づかなかったのか?」
「?」
ユウリが怪訝な顔で私に聞き返す。どういうことかと逆に問いただそうとしたが、ユウリの方が先に口を開いた。
「あいつ、ザルウサギに似てただろ」
「……あっ!!」
どこかで見たことがあると思ったら、シーラだ! 確かにあの金髪といい、瞳の色といい、共通点はいくつもあった。どうして気づかなかったんだろう。
「……あ、もしかして弟!?」
「やっと気がついたのか」
確かカンダタを捕まえたときに、年の離れた弟がいるって言ってた気がする。
「でもなんとなく、シーラとは雰囲気が違うよね」
そう、顔は似ているが、明るくて快活なシーラとはまるで正反対だった。優しく穏やかな彼は、シーラより随分と大人びて見える。ユウリに指摘されなければ、気づかなかったかもしれない。
「あいつが次期大僧正なんだろうな」
「そっか……。シーラは、あの子と比べられてたんだ……」
最初は次期大僧正として修行をしていたシーラだったが、才能のある弟が生まれて、周りはいつしか彼の方に目を向けるようになった。そんな彼と比べられたシーラは、いったいどれほどの劣等感を感じていたことだろう。
「あいつの見た目や言動に惑わされるな。さっきあいつとすれ違ったとき、お前のことを『野蛮で卑しい女』だとか言ってたぞ」
「え!?」
「ザルウサギと違って随分と裏表の激しい奴だな、あいつは」
先ほどの慈愛に満ちた謙虚な姿勢とは程遠い台詞に、私の思考は停止した。
「ザルウサギが僧侶をやめて遊び人になったのも、あいつが原因の一端なのかもしれないな」
ユウリも今ので何かを察したのだろう。私もにわかには信じがたいが、シーラの事情を考えると、ユウリの推察は間違っているとは思えない。
「とにかく、バカザルとザルウサギがいないんだ。これ以上ここにとどまる理由もない。早く別の場所を探すぞ」
「うん、そうだね」
私はユウリに同意すると、足早に神殿の出口へと向かった。
「……お願い!! もう一度だけでいいから、マーリンに会わせて!!」
外へと続く扉の近くまでやっ
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