第一部
第四章 いつだって、道はある。
五代目火影
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を引っ張りやってきた。リーのことが気になっていたネジも素直にくっついてきた。
だがそこで告げられた診断結果は――自分たちの期待を大きく外れていた。
ユナトにもうリーは治らないかもしれないと言われても、テンテンはきっとまだ希望はあると信じていた。そうだと信じてやまなかった。だから綱手が来た時、テンテンはリーが治ると確信した――そんな診断結果がくるだなんて、そんな結果を想像してもいなかったのだ。
ちらりと視線を隣へ寄せれば、綱手が診断のためこちらに赴く前、「よくなったらまた一試合しよう」と前と比べるとずっと清清しい、憑き物の落ちたような顔でリーに笑いかけたネジの白い瞳も、大きく見開かれている。
ネジだって最近性格が丸くなってきて、三人で綱手さまが落ち着いてこっちにきてリーを診てくれるのを待っていた。待ち遠しかった。きっと大丈夫だと信じてやまなかった。
なのになんで。なんでこんな。
沈黙の幕を引き上げて、綱手が静かに言う。
「忍びをやめて、別の道を探ったほうがいい」
なぜこんな一番大切な時にガイはいないのだろうと、テンテンは呪わしく思いながら拳を握り締める。ぽろぽろと涙が零れた。ぐっとネジが腕を掴む。わかっている。一番辛いのは自分たちではなくて、リーだ。
綱手とてこんな診断結果を伝えるのは不本意だったが、それでもリーにとってこの術は負担が多すぎた。成人しているガイならまだしも、リーのまだ未熟な少年の体ではその負担を全て受け切れなかったのだ。我愛羅の術によって受けた負傷の治療自体はどうってことはない、成功させられる自身はある。だが裏蓮華の反動によって受けてしまったこの大怪我について、自分は手術の百パーセントの成功を保障できない。その上この手術が失敗したものなら、リーは死んでしまうかもしれない。
「リー」
ネジが振り向く。松葉杖をついて、ゆっくりと一歩一歩歩き出し病室を出て行くその後姿は、以前よりもずっと小さく見えた。がら、と音を立てて病室のドアが閉まる。また、沈黙。今回幕を引き上げたのは、テンテンの涙声だった。
「なんで……? なんでリーなの? どうして誰よりも忍びになろうと頑張ってたリーがこんな目に合わなきゃならないの? 体術しかなくても立派な忍者になるって、誰よりも頑張ってたのはリーなのに……!」
ネジが下唇を噛み締めて俯いた。体術がなくても立派な忍者になる、それがリーの夢。三班結成当時に語られた彼の夢、自分が忍術が使えない時点で忍者じゃないだろうと笑い飛ばした夢、そして彼が今まで精一杯努力してきた夢。
天才と落ち零れは運命によって決まるのだとまだ運命論を信じていたあの頃の自分でさえ運命の例外を認めざるを得なかったくらいに努力し、そして強くなっていった彼と、今ならバカにせずに全力で組み手
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