第一部
第四章 いつだって、道はある。
五代目火影
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れた三人は苦笑し、暫しの間ほのぼのとした空気が流れた。
「で? ぐだぐだしててもいいの、ナルト君? 今日はイルカさんと約束があるじゃないです?」
「あーっ、そうだったってばよっ!!」
ユナトがふと問いかける。なぜユナトがそのことを知っていたのかについては何の疑問も抱かず、ナルトは慌しく火影邸の執務室を飛び出していく。その姿を眺めながらふっと綱手が口元を緩めた。
自来也の言った通り、彼は綱手の弟に――縄樹によく似ていた。せっかちで慌しいところも、明るくて人懐っこいところも、火影を夢見ていることも、外見でさえ、そっくりだった。火影を夢見ているという点だけなら、今は亡き最愛の恋人、加藤ダンにもよく似ている。
首を振って頭に浮かんだ二人の笑顔を振り切ってため息をつく。木ノ葉の為に何かしたいと決めたのだ。まさか火影とは思いもよらなかったが、それでも自分にやれるのなら全力を尽くす。過去にばかり囚われていて前に進めなくなり、博打に沈んだ一人の女を、自分が一番よく知っている。
「そういえば綱手、今日はなんの用だ?」
「ああ……狐者異について聞きたいことがあるんだが、ちょっとまっててくれないか」
自来也が振り返る。綱手は不意に用事を思い出し、前髪をかきあげながら言った。
今日はガイの弟子を診てやる予定があるんだ、そういう綱手に、ユナトの顔が僅かに強張った。
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「……え?」
シノビヲヤメロ。綱手の口から発された音声情報がなんなのかも分析されないままにリーの脳を突き抜けていった。数秒遅れて、嫌々と脳がそれを分析していく。分析が終わってリーが出来た第一の反応は、ただ意味の無い母音を疑問符と共に喉奥から吐き出すことだった。
繰り返し脳内で綱手の言葉をリピートする。意味がいまいち理解できない。ペーパーテストに余り集中できていない時、問題を何度も繰り返し読まないとどこから解いていいのかわからなくなるのと似たような感覚だ。
「重要な神経系の近くに骨の破片が多数……しかも、深くもぐりこんでいる。例え手術したとしても……」
「そんなっ!」
テンテンが悲痛な叫びをあげた。眉根を寄せたネジがぐっとテンテンの肩を掴み、綱手を見据える。
「……可能性は、ないんですか」
「あたし以外には無理な手術な上……時間がかかり過ぎる。それに大きなリスクを伴う」
「リスク?」
眉根に先ほどよりも多くの皺を刻んだネジが問い返した。
「手術が成功する確率は、よくて五十パーセント。……成功しなければ、死ぬ」
沈黙の幕が下される。ネジもテンテンも言葉を失った。
今日――この場にいるのはユナト、綱手、シズネ、自来也、リー、ネジにテンテン。五代目火影綱手がリーを診てくれるときいて、テンテンは喜び勇んでネジ
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