六十七 三忍ふたり
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潰された自来也は、口から血を流しながら愕然と凝視する。
戦争孤児をいっそ殺してあげるほうが慈悲だと促した男は、現在の状況に嘆息を零した。
沈む直前。
殺される寸前。
自分に肩を貸し、ペインの攻撃から自来也を助けた存在は、この場にはいないはずの男。
「三忍が聞いて呆れる」
自来也を死の淵から引き揚げた色白の男はうっそりと嗤う。
蛇のように狡猾な瞳のその奥に、遠い昔、確かにあった微かな仲間意識を滲ませて。
「もっとしぶとい男だったでしょ、あなたは」
木ノ葉の里を抜け、“木ノ葉崩し”を起こした裏切り者。
『暁』の一員だったものの、組織を裏切った厄介な存在。
双方にとっても裏切りのレッテルを貼った相手だが、自来也にとっては友であり仲間であり、そして…─────。
「同じ三忍のよしみでつい手が出ちゃったけど、仕方ないわよね」
自来也に肩を貸したまま、彼はふ、と口許に弧を描く。
「立ちなさい、自来也」
昔から変わらない、蛇を思わせる双眸。
けれどその瞳は以前と違い、微かにあたたかみのあるものだった。
「弟子の不始末は師匠である貴方が師として最後まで責任を果たしなさい。それまで死ぬなんて許さないわよ」
潰された喉を振るわせて、自来也は半信半疑でその名を呼んだ。
「お…ろ、ちまる…」
自来也に肩を貸しながら、自来也と同じ三忍のひとり───。
大蛇丸は蛇のように眼を細めた。
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