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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十七 三忍ふたり
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ばよかったなどと思ったことは一度もなかった。
たとえ、遠くない未来、自分を殺す相手がその教え子だったとしても。



如何に世知辛い世の中とは言え、師匠と弟子には眼には視えない絆があると信じていた。
けれど、それを信じていたのは自来也だけだったらしい。
自らその絆を断ち切り、正しき道を外れてしまった教え子の圧倒的な力を前にして、自来也は苦笑する。


師匠として弟子の成長に喜ぶべきか。
忍びとして己の力が通用しない事実に悔しがるべきか。


それでも、あの時、途方に暮れた長門・弥彦・小南に手を差し伸べた事に、自らが道標となって乱世を生き抜く術を学ばせた事に、悔いはない。
例え、殺されようとその想いだけはずっと、自来也は変わらなかった。


荒れ果てた塔。
破壊され、朽ち果てた塔の内部。
ペインとの戦闘で、もはや塔として成り立たぬ建物は、もはや海と直通していた。

里を囲む海水が満ち、塔の成れの果てである柱が罅割れて水面に浮いている。
元は柱だったのだろう。今では水に浮かぶ、ただの岩に自来也は横たわっていた。


仙人モードになっても仙術を駆使しても、口寄せした二大仙蝦蟇の力を借りても、次から次へと人数を増やすペインに寄ってたかって攻撃を受ければ、流石の自来也も精根尽きた。


せめてもの救いと言えば、気絶したサスケとアマルから離れた場所だということくらいか。
それでもこれだけ崩壊していれば、彼らが無事かどうか把握できないが。
なにせ今現在、自分の命が尽きようとしているので。



気が遠くなる。
最期の力を振り絞って、二大仙蝦蟇のフカサクの背中に、自来也は『暁』リーダーの手掛かりを刻む。
暗号化したダイイングメッセージを刻んだフカサクを木ノ葉の里へ逃がした自来也は、真上からの攻撃の直撃を受けた。


最後の足場だった岩が崩れる。
水飛沫が高く上がり、粉砕された岩の破片が飛び散った。


情け容赦なく、微塵の躊躇もなく。かつての師へトドメを刺す。
凄まじい轟音が塔に響き渡った。


もはや建物として成り立たない塔。
水面に降り立ったペインは、波紋を幾重にも描く水底を覗き込む。


蛙こそ仕留め損なったが、自来也を殺した。
そう、ペインは確信した。


沈みゆく自来也の遺体を見ようと細めた輪廻眼。
その眼が、直後、大きく見開いた。











「───まったく。だからあの時、殺しておけばよかったのよ」
















聞いたことのある声音だった。

自来也にとってもペインにとっても。
ねっとりとした、その声は。


「…お、ま…え」


ペインに喉を
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