六十七 三忍ふたり
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出す為だとは言え、今し方の長門の───いや、ペインのやり方は荒療治過ぎる。
サスケが気がかりで一瞬意識を逸らしていた自来也は、背後から迫りくるソレにハッ、と我に返った。
風を切って迫る鋭利なモノから身を守る為、印を切る。
「【忍法・針地蔵】!」
咄嗟に自分の髪を硬化する。
針鼠の如く硬く変貌した髪が弾いたソレらは、手裏剣だった。
いや、紙でできた手裏剣だった。
自分目掛けて飛んできたその武器に見覚えがあった自来也は、いつの間にか背後に回っていた相手の姿を認めると、眼を見開いた。
「不意打ちだと思ったんだけど…流石ね、先生」
其処には神の使いだと謳われる女がいた。敬られる天使がいた。
紙で構築された羽根を天使の翼の如く広げた姿は、雨隠れの里のあちこちで見かけたおまじないにそっくりだ。
ご利益があると軒下にぶら下がっていた天使の人形。
天使を真似る彼女の身体がペラペラの紙となって宙に浮いている様を見て、自来也は皮肉を口にした。
「それで天使のつもりか。神やら天使やら…そんなモノを気取ってご利益はあったのか」
長門がいるのならば、彼女も近くにいるとは思っていた。
けれど道を踏み外した弟子がふたりもいるなんて信じたくなかった。
内心の哀しみを押し隠し、自来也はあえて明るく「…術のキレも良くなったが、いい女にもなったのう───小南」と久方ぶりの弟子の名を呼んだ。
「挟み撃ちにしたと思ったんだがな…」
わざと明るく振る舞う自来也を、ペインは無表情で見据える。
小南の背後からの不意打ちにも即座に対処したかつての師の未来を、『暁』のリーダーはまるで明日の天気を語るかのように、淡々と告げた。
「もっとも俺からすれば成長しきれていない小さな存在なのは変わらないな…やはり自来也先生には此処で消えてもらおう」
それは神の宣告だった。
しかしながら、天使と神に挟まれた男は臆せずに、呵々と腹を抱えて嗤ってみせた。
「ガキにガキ扱いされるとはのう…師匠を…いや、」
自分の前に立ちはだかるかつての弟子へ。
変わり果てた教え子に、昔と変わらない飄々とした明るさで自来也は不敵に嗤った。
「三忍をあまり舐めるなよ」
「殺す?この子達…」
降りしきる雨の中、かつての仲間が言った。
「随分、戦争孤児を見てきたけど、惨いものよ…いっそのこと、此処で殺してやるのがこの子達にとっても、」
それは彼なりの優しさだったのだろう。友なりの憐みだったのだろう。
───大蛇丸なりの慈悲だったのだろう。
けれど自来也は、殺しておけ
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