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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十七 三忍ふたり
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手心を加えてしまっていた。
それが逆に、自来也の拘束を解きやすい弱点と化してしまっていたのだ。

その隙を見逃さず、サスケの胸元を蹴りつけることで自来也の【乱獅子髪の術】からも、【土遁・黄泉沼】からも引き剥がした張本人。
サスケを蹴り飛ばした第三者の姿を仰ぎ見る。


そうして自来也は大きく眼を見開いた。


其処には雨隠れの里で噂される男がいた。崇められる神がいた。
そして……───。



「───お久しぶりですね、自来也先生」



自来也の、かつての教え子がいた。














「その容姿…弥彦か?」


明るい橙色の髪。顔に杭のようなモノが突き刺さっているが、どこか面影があった。
共に笑い寝食を共にし修行をつけた幼き子のひとりに。


「いや…外見は随分変わったが、その眼…」

正直なところ、半信半疑だった。そうであってほしくない、と願っていた。

大事な教え子だ。大切な弟子だ。『暁』という組織に彼らがいる事実から眼を背けたかった。
けれど目の前にいる男の眼はまさしく。

「長門、なのか…?」


あの形状、あの波紋模様。
遠い昔に見た、幼い長門の眼、そのもの。

“輪廻眼”

暁の頂点に立つ存在ならば、そんな稀有な瞳を持つ相手だろうと予測はしていた。
けれど、当たってほしくはない予想だった。


「……俺が長門から眼を奪ったとは考えないのか?自来也先生」
「おまえ…ッ、」


無情な現実に内心絶望していた自来也は、“輪廻眼”を持つ彼からの言葉に、激昂した。
激憤する自来也を暫し眺めていた橙色の髪の男は、やがて、ふっと口許を緩める。

そうして「…冗談ですよ先生」といっそ穏やかに、彼は自来也に微笑んでみせた。
けれど瞬きひとつしない無表情さにその微笑みはむしろ不気味で、まるで笑い方を忘れた死人のようだった。



「…もう俺は長門でも弥彦でもない。俺は今、ペインと呼ばれ、神としてこの里に君臨している」
「ペイン…そうか…。やはりお前が『暁』のリーダーなのか」


確信を得た自来也は、対話をしながら視界の端でサスケの容態を盗み見る。
駆け寄ったアマルが治療を施しているようだ。
しかしながらサスケの傍らには血の塊が飛び散っており、おびただしい吐血の量から暫くは身動きできないことが窺えた。

(…サスケを巻き込まんように、此処から引き離さんとのう…)



すぐに此処は戦場になる。
師匠である自分と、かつての弟子であった『暁』のリーダーである長門。
双方がぶつかれば、この塔もただではすまない。


サスケが『暁』に所属しているとは言え、自来也の沼地から引きずり
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