六十七 三忍ふたり
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無事には済まないだろう。けれどサスケの目的は自来也を殺すことではない。
この場から立ち去ってもらうことだ。
故に使わない。けれど現状、悠長なことは言ってられなくなった。
追い込まれているのは事実で、サスケは思わず悪態雑じりの賞賛を吐き捨てる。
「腐っても三忍か…」
「弟子は師に似ると言うが大蛇丸に似て失礼な奴だのう」
「………アイツと一緒にするな」
しみじみと返された自来也の言葉が心底不快で、サスケは顔を顰めた。
その険しい表情が不快感だけではなく、八尾との戦闘で負った傷によるものであることを察して、自来也は眼を細める。
(…長引かせるわけにはいかんのう…)
チャクラ消費に加えて傷も負っている。
しかも【乱獅子髪の術】で拘束した際に己の髪についた出血具合から、相当な深手だ。
これ以上傷を広げないように、さっさと決着をつけるに限る。
(ならばこれ以上、抵抗できんように動きを止める!)
意固地な子どもを取っ捕まえようと、自来也は印を結んだ。
「【土遁・黄泉沼】!」
足場を崩す。正確に言えば、サスケの足元を沼地に変えて引きずり込む。
巨大な蛇でさえ沈ませる沼地が足をズブズブと引きずり込んでゆく。
突如沼地へと変貌した足場からサッと顔色を変えたサスケはすぐさま手を下に向けた。
雷撃が迸る。
(…これ以上、深みに嵌まるのを防いだか)
術を自来也ではなく、己の足元に放つ。
【千鳥流し】で、沼に沈みゆく身をサスケは足首あたりで止めた。
彼の咄嗟の判断力には眼を見張るものがある。
だがそれでも自来也のほうが一枚上手だった。
追撃する。
すぐさま己の髪を鞭のように伸ばし、【乱獅子髪の術】で再びサスケを拘束した自来也は、幼子を諭すような物言いで宥めた。
「おとなしくせい、サスケ。これ以上傷口を広げたくはなかろう?」
暗に、火達磨になりたくはないだろうと諭す。
油を浴びたこの状態で火遁系の術を放てば対象を一瞬にして炎で包み込むことが可能だ。
だが自来也の目的はサスケを木ノ葉の里へ連れ帰ること。
生け捕りを目的とした対象を殺す真似はしない。
瞬間、自来也の視界からサスケの姿が消えた。
「……ガハッ、」
吹き飛ぶ。凄まじい速度でサスケの身体が壁に激突した。
呆然とする自来也の視界の端で、蹴り飛ばされたサスケがごぽり、と吐血するのが見えた。
「サスケ…!」
アマルの悲痛な声が耳に届き、そこでようやく自来也は我に返った。
「…ッ、新手か…!」
ちょうどサスケの傷がある胸元を、自来也は無意識に緩く拘束していた
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