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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十七 三忍ふたり
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針から逃れるように、二、三歩後退。

が、もう後退が出来ない事実に気が付くと自来也は舌打ちした。
いつのまにか壁際へ追い込まれていたようだ。柱を背に、身構える。


(誘導されたか…!)

光の速さで飛んできた巨大な手裏剣。
壁際へ追い詰められた自来也目掛けて飛来してくるソレは、千本の中に紛れ込ませていたのだろう。

接近する手裏剣を前に、自来也はくるり、と空中で回転した。
カンカンッと打ち鳴らした下駄で器用に巨大手裏剣を挟み、手裏剣の回転を足だけで止める。

背後への移動を強要し、壁際へ追い詰め、手裏剣で動きを止めたのは良い手だったが、この程度の攻撃、防げなくて何が三忍か。

しかしながら、手裏剣の影に隠れた光を微かに見つけたと思うと、自来也は即座にその場から離脱した。

(マズイ…ッ)


手裏剣に潜ませたワイヤー。
僅かに光ったワイヤーの光を目敏く見つけ、自来也は地を蹴る。
間一髪。
巨大手裏剣に潜ませていたワイヤーが捕縛対象であった自来也の代わりに、寸前まで背にしていた柱に巻き付いた。

「…かなりの戦略家になったようだのう、サスケ」


背後の柱への移動を強要し、壁際へ追い詰め、千本に紛れ込ませていた手裏剣に注意を引きつけ、ワイヤーで動きを止める。その流れを瞬時に考え付いたサスケを、自来也は素直に称賛した。
が、同時に「だが…」と怪訝な表情を浮かべる。


「小手先の技術だけで儂に勝てると思っておるのか」


サスケは答えない。
依然として何を考えているか窺えない顔を浮かべる青年から感情を引き出そうと、自来也はあえて煽った。


「儂相手に出し惜しみか?お得意の幻術はどうした?」


うちは一族と言えば幻術。その類まれなる瞳術にある。
しかしながら一向に幻術を仕掛けてこないサスケを自来也は訝しげに眺め、やがて「ああ…」と得心がいったように頷いた。


「かけないんじゃない。かけられないのか」


サスケを見据える。
普段飄々としている男の真剣な眼差しが、核心を突いた。


「どうやら儂と会う前に、既に相当チャクラを消耗したようだのう」



その通りだった。
たった数分の今のやりとりだけで見抜く自来也の洞察力に、サスケは内心舌を巻く。


八尾ことキラービーとの戦闘で負った傷もろくにまだ癒えていない。
連戦続きで集中力も判断力も鈍り、身体も重い。
チャクラも八尾の戦闘で随分と使ってしまい、眼も擦れる。

なにより【天照】は使えなかった。


使わないのではなく、使わなかった。
チャクラのこともあるが、なにより同じ木ノ葉の忍び相手に、あの消えない炎を使うのは気が引ける。
あの黒い炎があれば流石の三忍と言えども、
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