六十七 三忍ふたり
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「【火遁・炎弾】!」
「【火遁・豪火球の術】!」
炎と炎が搗ち合う。
手裏剣が飛び交い、白刃が煌めく。
雨が降り続ける雨隠れの里。
狭い塔の中、激しい戦闘音は雨音に掻き消される。
だから里の者達は誰も気づかない。
里に潜入してきた忍びが三忍のひとり───自来也である事も。
その侵入者と対峙している忍びが、うちはサスケだという事も。
今現在、それを知る者はこの戦闘を見守るアマル、ただ一人だった。
「【乱獅子髪の術】!」
自来也の髪が伸びる。自在に操る頭髪が龍の如く、口を開いてサスケに押し迫る。
その猛攻を避けたサスケだが、途中で解れた髪の糸に足首を掴まれてしまった。
ただの髪ではない。鋼線にも匹敵する硬度の髪がサスケの身体を拘束する。
胸元を圧迫され、サスケの顔が苦痛に歪んだ。
「ぐっ…」
「サスケ…!」
焦燥感に満ちたアマルの声が塔内に響き渡る。
それもそのはず、圧迫されている箇所は先ほどの八尾との戦闘で重傷を負ったところだ。
まだ完全には完治していない箇所だと知っているからこそ医療の知識を持つアマルは悲痛の声をあげた。
サスケの胸元を締め付ける髪がじわじわと赤く染まっていく。
「…動きのキレが悪いと思ったが、そういうことか」
サスケの表情から読み取って、自来也は冷静に口を開いた。拘束する己の白髪に血が滲む。
思わず緩めそうになるのをぐっと耐え、自来也は冷酷にサスケを見据えた。
「本調子じゃないだろうに、まだ儂に歯向かうつもりかのう?サスケ」
サスケを締め付ける髪。その拘束力が増す。
【乱獅子髪の術】は敵の身体を粉砕させるまでに破壊力を向上させる事も可能な術だ。
降参を促す自来也に対し、苦痛に歪む表情でサスケは無言のまま睨み据える。
「……………」
紅く廻っているその眼を見て、自来也はハッ、と顔を強張らせた。
どこからか、チチチ…と鳥の鳴き声が轟く。
刹那、無数の鋭い針の群れが、自来也の髪を貫いた。
【千鳥】を形態変化させた雷属性の千本───【千鳥千本】。
自来也の拘束を解き放った鋭い針の群れが、鳥の鳴き声と共に飛び立つ。
髪から逃れたサスケから放たれた針の群れが、自来也へ襲い掛かった。
「むぅ…【千鳥】を応用した術か…!」
【写輪眼】と併用することで、急所を正確に狙い撃ちしてくる針の群れに、自来也は【乱獅子髪の術】を瞬時に別の術へ変換する。
「【忍法・針地蔵】!」
サスケの千本に対抗して、己の髪を針に変化させて防御する。
カウンターを狙ったが、千本よりも鋭利な武器が飛来してきている事に気が付くと、自来也は防御から回避へ移った。
カカカッと足元に突き刺さった
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