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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第38話:隊舎への帰還
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「・・・えらいもん掴んでしもたな。ゲオルグくんはどう動けばええと思う?」

はやては自分の足元を見つめながら弱々しい声で俺に尋ねてきた。

「少なくとも,最高評議会とスカリエッティが繋がってる証拠は掴んだ。
 この事実だけでも,最高評議会にとっては政治的な致命傷になりうると思う。
 だから,この事実を盾に最高評議会に対して秘密裏に接触を持つのは
 可能だと思う。ただね・・・」

俺は一旦そこで言葉を切った。

「何なん?」

はやては,俺の顔を見つめて先を促す。

「どうやら最高評議会側でもスカリエッティの狙いは掴みかねてるみたいでさ。
 俺たちが本当に必要としてるのは,スカリエッティの今後の動きについての
 情報だろ?だから,危険を冒して接触を持つほどの価値は今のところは無い
 っていうのが俺の考え」
 
「ふーん。そんなら,当面は静観するしかないっちゅうことか」

「そうなるね。あとは騎士カリムの予言とか他の線から探るべきかな」

俺がそう言うと,はやてはソファーの背もたれにもたれかかって,
さっきよりも大きな息を吐いた。

「そっちは,ユーノくんに調べてもらっとる最中なんやけど,
 相変わらずクロノくんがしこたま資料請求しとるらしいから,
 まだちょっと時間はかかると思うわ」

「そっか,あの人も懲りないな」

「いつかユーノくんがキレてクロノくんに殴り掛からんか心配やね」

はやてがそう言うと,俺たちは大声で笑いあった。
笑いが落ち着いたところで,はやてがもう一度真剣な顔で俺をみた。

「ところで,さっき見せてもらった映像に映っとった女やけど,
 素性は割れたん?」
 
「いや,データベースには該当者なし」

「その女はどこまで知ってるんやろか」

「さあね。ただ,最高評議会の連中が女の前では会話をしないところを見ると
 俺たちが必要としてる情報は握ってないと思うけど」
 
「女を攫ってくることはできひんかったん?」

「攫うの自体は簡単なんだけどね。あとの処理が難しいかな。
 最高評議会に察知されたら終わりなわけだし」
 
「ま,しゃあないか。以上?」

「そうだね」

俺がそう言うと,はやては立ち上がった。

「ほんならご苦労さんでした。シンクレアくんにもありがとうって
 伝えといてくれる」

「シンクレアには直接言えば。まだ6課に居てもらうつもりだから」

「そうなん?」

「まあね。今回欲しい情報を取りきれなかった以上,
 また同じようなことをする必要があるかもしれないからさ」

俺ははやてにそう言うと,立ち上がってドアに向かって歩き出した。
ドアを開けようとしたとき,背後からはやてが声をかけてきた
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