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レーヴァティン
第二百七十五話 邪神の島その十二

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「一人もな」
「そうだよな、それは」
「そして逃げることもだ」
 このこともというのだ。
「勇気がいる、それもまた決断だからな」
「決断には勇気がいるな」
「どんな決断でもな」
 それを下すにはというのだ。
「必要だ」
「向かうにしてもそうでな」
「逃げる場合もな」
「決して臆病でも弱虫でもないな」
「どうしようもないこともある」
 世の中にはというのだ。
「生きているとな」
「それから逃げることはな」
「決してだ」
「悪いことじゃなくてな」
「勇気が必要でだ」
 それでというのだ。
「恥じることもない」
「そうだよな、自殺なんかしたらな」
「元も子もないからな」
 そもそもというのだ。
「それより遥かにましだ」
「本当にそうだな」
「自殺はするものじゃない」
 英雄は断言した。
「何があってもな」
「それも決断って言うとな」
「決断には違いないが」
「決めたら駄目な決断だな」
「ある人に言われた」
 英雄は遠い目で述べた。
「自殺は最も卑怯な解決の方法だとな」
「死んだら終わりだしな」
「それは逃げる中でもな」
 決してというのだ。
「最悪のだ」
「逃げ方だな」
「逃げるのなら生きる逃げ方だ」
 そうであるべきだというのだ。
「まことにな」
「本当にそうだな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「絶対にだ」
「自殺は駄目だな」
「その前に考えることだ」
 くれぐれもと言うのだった。
「他にまだ方法はないか、相談してだ」
「その場から一時でも逃げることだな」
「そうだ、そして残された家族や友達がどう思うか」
 このこともというのだ。
「少しでもな」
「考えることだな」
「そして味方は絶対にいる」
 どの様な人間でもというのだ。
「そうしたことも考えてな」
「逃げることだな」
「そうしたらいい」
「そうだよな」
 久志もその通りだと答えた、そうしてだった。
 自殺の話もしていきそのうえでこれからのことも進めていった、最後の戦いの時は間近に迫っていた。


第二百七十五話   完


                    2022・9・23
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