第四章
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「そうした時はだよ」
「成程な」
「それじゃあな」
「イタリアにもか」
「行くよ」
こう言うのだった、そして。
ここで友人達はまた彼の体温を測った、すると。
今度も四十度でだ、また話した。
「相変わらずだな」
「体温高いな」
「飲んでるとこうか」
「何もかもが変わって」
「そうなるんだな」
「そういうことだよ、飲めば変わるよ」
こう言ってまたビールを飲むのだった、飲むとノヴァーリスは確かに変わった。だがここで友人達はあることに気付いた。
「しかしな」
「変わらないところがあるな」
「そうだよな」
「感情出しても」
「そうなってもな」
「何がかな」
ノヴァーリスは飲みながら問うた。
「一体」
「いや、確かに批判を言って」
「大笑いするが」
「決して暴れない」
「乱れないな」
「そこはだ」
友人達はそのノヴァーリスに話した。
「同じだな」
「普段の君と」
「全くな」
「そこは変わらないな」
「暴れて何になるんだ」
ノヴァーリスは友人にこう返した。
「一体」
「暴力は何も生み出さない」
「それは劣った力である」
「感情のみの」
「そう、暴力は何も生み出さない。これは確かなことだ」
ノヴァーリスは酔いつつも確かな声で言った。
「ただ感情に任せるだけで振るう」
「そうした力だな」
「それが暴力だな」
「そうした力に過ぎない」
「そうだな」
「武力はいいんだ」
こちらの力はというのだ。
「軍隊なり警察が持っているそれは」
「そう、軍隊は暴力機関ではない」
「武力を持つ組織だ」
「そこは間違えてはいけない」
「暴力と武力は違うんだ」
「武力は法律のコントロールを受けている」
それがあるというのだ。
「感情に赴いて振るわれない」
「そうした力じゃない」
「法律のコントロール下で動く」
「命令を受けて」
「統制があるな」
「暴力にはそういったものがないんだ」
法律のコントロールそして統制といったものがというのだ。
「そんな力僕は否定する」
「そうだな」
「お酒を飲んでもそこは変わらない」
「体温が変わっても」
「表情や口調が変わっても」
「それが僕なら有り難い」
ノヴァーリスは自分から言った。
「ではだ」
「うん、これからもだな」
「君は飲んでいくな」
「そうしていくな」
「そうしていこう」
こう言って実際にだった。
ノヴァーリスはビールを飲んでいった、そうしてだった。
色々言い表情も出てだった。
そうして体温も高かった、だがそれでも暴力は一切なかった。友人達はそこに彼の本質を見て笑顔になった。そうして彼と共に飲んでいった。
体温計 完
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