第三章
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「いつも飲むものだね」
「うん、確かに」
「欧州ではそうだよ」
「それこそ朝から飲むよ」
「この国でもね」
オーストリアでもというのだ。
「時々食欲がなかったらな」
「そうだな、朝からビールだな」
「ビールに生卵を入れる」
「それを飲むな」
「ビールはパンだ」
「飲むパンだ」
ドイツ文化圏でよく言われる言葉も出た。
「だから普通に飲むな」
「ノヴァーリスが朝に飲んでいる時は知らないが」
「それは普通だし」
「それならか」
「いつもか」
「僕がこうした感じになっている時はよくあるよ」
ノヴァーリスはまた言った。
「本当にだよ」
「そうなんだな」
「だからそう言うか」
「成程な」
「よくわかったよ」
「そういうことだよ、昼も飲むし」
今の様にというのだ。
「本当に食欲がない時は」
「朝から飲むか」
「ビールに生卵を入れて」
「そうしてか」
「ああ、飲むよ。しかし」
ここでノヴァーリスはまた試合を観て顔を顰めさせた。
「このチームは采配も悪いな、もう交代すべきなのになあの選手を」
「おいおいまたか」
「またそう言うのか」
「本当に飲むと変わるな」
「表情も口調も」
「全く別人だ」
「体温も変わるし」
このことも言うのだった。
「ノヴァーリス自身の言う通りだ」
「全くだ」
「いつも冷静じゃない」
「その通りだ」
「そうだよ、じゃあ試合が終わったら今度はバラエティを観ようか」
笑ってこう言って実際にだった。
試合が終わるとだ、人気のバラエティ番組を皆で観たが。
飲みつつ観てだ、腹を抱えて転げる様にして笑う彼を見て友人達は今度は苦笑いをしてこう言った。
「いや、変わり過ぎだな」
「こんなに笑うのか」
「まるでイタリア人みたいに笑うな」
「これはイタリアに行っても通用するな」
「そうだな」
「イタリア?大好きだよ」
ノヴァーリスは涙を流してまで笑いつつ答えた。
「何度もだよ」
「旅行に行ってるか」
「あの国まで」
「そうしているんだな」
「時間とお金があれば、けれど」
それでもと言うのだった。
「それながいとだよ」
「お金がか」
「そして時間が」
「その時はか」
「もう諦めて」
そうしてというのだ。
「音楽と食事だよ」
「イタリアのか」
「イタリアはどっちもいいからな」
「それでか」
「そうだよ、だからね」
それでというのだ。
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