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チンパンジーの親
第二章

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 後日モリガンは知り合いが所属しているマイアミの動物保護団体を訪問してそこの様子を聞いてその目で見ていた、それを自分の仕事に活かす為にだ。
 その中で雄のチンパンジーがだった。
「キキッ!!」
「リンバーニ元気か」
「何よりだわ」
 白髪で青い目の初老の男性と金髪で緑の目のやはり初老の女性夫婦と見られる彼等がだった。
 リンバーニチェワ語で強いという意味の雄のチンパンジーを抱き合い笑顔になっていた。モリガンはそれを見て言った。
「まるで親子だな」
「そうだね、お二人はジョージ=リーさんとタニア=リーさんといってね」
「ご夫婦かな」
「そうでね」
 知り合いの獣医はこうモリガンに話した。
「産まれた時母親が高齢で」
「それでかい」
「難産でね、生まれた時に肋骨は折ったし母乳は出ないでね」
「大変だったんだね」
「身体も弱くて」
 それでというのだ。
「随分と大変で人に育ててもらうことになってね」
「それでかい」
「お二人が育ててくれて」
 そうしてというのだ。
「ここに戻ってあらためて母親と暮らしているけれど」
「育ててくれたことは忘れていないんだね」
「そうなんだ」
 モリガンに笑顔で話した。
「実はね」
「それは何よりだね」
「それでお二人が来たら」
「いつもだね」
「大喜びでね」
 そしてというのだ。
「再会を喜び合っているんだ」
「そうなんだね、いいものを見せてもらったよ」 
 モリガンは笑顔で応えた。
「本当にね」
「それは何より、では施設を見てくれるかな」
「そうさせてもらうよ」
 モリガンは友人に笑顔で応えてだった。 
 団体を見て回った、そして多くのことを学んだが。
 リンバーニのことは素直に暖かい気持ちになれた、その気持ちを胸に抱いたままそのうえでカンサスに戻ったのだった。


チンパンジーの親   完


                 2022・12・26
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