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出産は地獄だからこそ
第一章

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                出産は地獄だからこそ
 富永景は今病院にいる、妊娠十ヶ月で何時生まれてもおかしくない。
 丸めの顔で優しい感じの垂れ目で微笑んだ形の唇であり黒髪をおかっぱにしている、背は一五五位で女性的なスタイルである。 
 その彼女は見舞いに来た寺の住職の夫芳一に話した、僧侶だが別に頭を剃らなくていい宗派なので黒髪を右で分けている、面長で小さ目の目と唇を持っていて鼻は低く耳は大きい。背は一七〇位で痩せている。
「もう何時生まれてもよ」
「おかしくないんだね」
「そうなの、けれどずっとね」
 妻は夫にベッドの中で笑って話した。
「つわりや陣痛でね」
「大変だったね」
「そう聞いていたけれど」 
 妊娠したらどうなるかはというのだ。
「実際にね」
「大変で」
「それがやっと終わると思うと」
「嬉しいんだ」
「ええ、ただね」
 それでもとだ、景は芳一に話した。
「最後の最後出産の時がよ」
「一番大変だね」
「そうみたいね、凄く痛いってね」
 出産のそれはというのだ。
「聞いてるから」
「それでだね」
「今から覚悟しているわ」
「うん、簿kも一緒にいるから」
 芳一は夫として景に約束した。
「頑張ってね」
「そうするわ」 
 景もまた約束した、そして次の日にだった。
 その時が来た、破水しそれで出産となったが。
 景は絶え間なく来る気を失いそうになるまでの激痛に苛まれた、そうしながら夫が見守るその中でだった。 
 出産した、元気な男の子だったが。
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