第二章
[8]前話
「私も死んだっていう感覚ないわ」
「しかしさっき死んだと言ったぞ」
「死んだことは事実だしね」
「それでもここにおるからか」
「死んだ感覚ないわ、ただ成仏したら」
「そっちの世界に行くな」
霊界と言われるそちらにというのだ。
「何時かな」
「そうね、じゃあその時はね」
「宜しくな」
「ええ、何時になるかわからないけれど」
夫の仏壇の前で隣にいる夫に言った、英世は生前通りに暮らしていった。身体はないので食べたり入浴はしなかったが。
早寝早起きで散歩もしたりした、それで三年程普通に暮らしてだった。
ある朝食事を摂っている家族にこう言った。
「夢で今日お迎えが来るそうだからな」
「ああ、あっちの世界に行くんだ」
「そうするのね」
「そうなる、夜の十二時に行くそうだからな」
こう言うのだった。
「宜しくな」
「それじゃあな」
「あっちでも元気でね」
家族は平然と言った彼にこう告げた、そしてだった。
十二時になると手を振り合って別れた、祖父はすうっと姿を消したが家族は彼がいた場所を見て話した。
「まだここにいるみたいだな」
「そんな感じするわね」
「幽霊でもずっといたし」
「何かいなくなったって思えないわ」
「全くよ、死んでも三年一緒にいたから」
雅も言った。
「今いなくなってもね」
「何か実感なくて」
「死んだと思えないわ」
「今もね」
幽霊として三年一緒にいた彼のことを思うのだった、そうしてあらためて冥福を祈ったのであった。
活発な幽霊 完
2022・12・25
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