第二章
[8]前話
「大人と子供じゃね」
「背の高さが全然違うからな」
「だから同じ場所にいた夢を見てもよ」
「見る夢は違うか」
「見る場所や位置が違うとね」
どうしてもというのだ。
「変わるわ、この前テレビでそんな話していたわ」
「それで今俺に言うんだな」
「そうよ、あとね」
「あと?」
「色もないわよ」
こうも言うのだった。
「犬の夢は」
「ああ、犬って色わからなかったな」
洋介は言われてこのことを思い出した。
「そうだったな」
「そうでしょ」
「確か人間と猿だけだったよな」
それこそという言葉だった。
「色わかる生きものは」
「哺乳類だとね」
「そうだったよな」
「犬もそうで全部白黒に見えるのよ」
「ふわりも同じだよな」
「そうよ、もう全部ね」
犬、ふわりもその目に見えるものはというのだ。
「白黒なのよ」
「それじゃあふわりの夢もか」
「白黒よ、ふわりは犬でも特に小さいし」
「トイプードルでな」
「その中でも小さい方でしょ」
「ティーカップの大きい方だったな」
「そんな大きさでしかも足も短いから」
ドワーフタイプの娘だからだというのだ。
「それでよ」
「余計にか」
「低い場所から世の中を見ていてね」
「白黒でか」
「全く違うわ」
「そういうことだな」
「ええ、ふわりが見る夢はそうしたものだってね」
低い場所から見る白黒のものだということをというのだ。
「覚えておいてね」
「そうしておくな」
「ええ、じゃあね」
「ああ、ふわりのことをまた知ったよ」
洋介は母に微笑んで応えた、そしてだった。
暫くしてふわりのご飯の時間になったところで彼女のお皿にドッグフードを入れた、するとふわりはすぐに起きて食べはじめた。
その彼女にだ、洋介は笑顔で尋ねた。
「いい夢見たか?」
「ワンッ」
ふわりは見たのという感じで彼に顔を向けて明るい声で鳴いて応えた、洋介はそんな彼女を見てまた笑顔になった。
犬の夢は 完
2022・12・23
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