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仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜
第一話 『RX、再起』
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 「そういえば光太郎さん、立て看板に午後はお休みって書いてあったけど、何かあったんですか?」
 響子は話題を変える。
 「ああ、今日は信彦の墓参りに行く日だから、午前中だけ営業して、午後から墓参りにって流れだよ。」
 光太郎は午後休業の理由を説明する。
 「信彦って、確かあのシャドームーンとかいうアニキを襲った銀色の奴だろ?」
 「俺にとっては、兄弟でもあり、大事な親友でもあったんだ。たとえ記憶をなくして俺を襲ってきた相手だとしても、墓参りは忘れられないよ。」
 秋月信彦、光太郎と同じ日、同じ時間に生まれ、光太郎が秋月の家に引き取られてからは本当の兄弟のように育ったが、彼もまたゴルゴムによって改造手術を受け、仮面ライダーBLACKと対を成す存在、世紀王シャドームーンとなりBLACKと死闘を繰り広げ、RXとなった後も幾度も戦いあったが、か弱き子供達を救うために立ち上がり、その命を散らした。光太郎はその時のシャドームーンが信彦に戻ったことを忘れることはなく、こうして毎年墓参りに行っている。
 「そうすか。それじゃあ、こうしてのんびりしているのも悪いな。響子、そろそろ帰るか。アニキ、邪魔したな。」
 霞のジョー達はコーヒー代を支払い、店から出ていく。
 「ありがとう。」
 光太郎は他の客が出ていくのを確認すると、閉店の準備を始める。
 「今日はお客が少なかったからか、普段より綺麗だな。」
 光太郎は店内の清掃をしている。
 「そうか、ゴルゴムを壊滅させて35年か。時間が立つのは早いな。」
 光太郎は過去の戦いを思い出し、複雑な気持ちを抑えながらも信彦の眠る柴田牧場へ向かう。
 「信彦…」
 光太郎は信彦と共に育った子供時代を思い返す。仲の良いスポーツ少年であったこと、風呂場でシャワーの掛け合いをしてじゃれ合っていたこと、夏休みには信彦とその実妹、そして信彦の恋人と四人でボートに乗り海へ出て遊んだ思い出を。しかし、これまでの墓参りではなかった自体を前に、光太郎の脳は現実に引き戻される。
 「バッタだ。しかも、35年前のあの時と同じ。」
 光太郎の前には大量のトノサマバッタが飛んでいた。その光景を見た光太郎の脳裏には、自身が仮面ライダーBLACKに改造された日の夜が過る。その日は光太郎と信彦の19歳の誕生日であった。そこには著名人や政治家など、たかだか一大学生の誕生パーティには見えるはずのない人物がぞろりといた。そして、パーティの参加者は飛び交うトノサマバッタに眉一つ動かすことのない異様な光景だった。そして、その異様さを不審に思った二人はパーティを抜け出そうとしたとき、謎の光に捕らえられ、二人は改造され、戦いの渦に飲み込まれたのだ。それを思い出した光太郎は不吉な予感を感じた。それでも、信彦の墓まで歩いてゆく足を止めることはなかった
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