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とある3年4組の卑怯者
94 遭遇(はちあわせ)
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・」
 笹山は反論できなかった。嫌ったなら遠ざかればいいのに逆に気になって捜査して、その結果、嫉妬するなど理不尽だ。なぜそのような行動に出たのか、笹山は自分を顧みた。
「それに貴方の学校では藤木君を責めてばかりいるようだけど、藤木君をそうさせたのは藤木君に手紙を送った人がいたからでしょ!?ならその人を探さなきゃ解決しないじゃない!!」
 堀の言う事は確かに間違ってはいなかった。確かに藤木は自分の所に手紙が届いたと言った。しかし、相談しなかった事で振って、それで終わりなんて藤木に確かに悪い。その上嫌ったにも関わらずその後の藤木の行動を調べるという事は・・・。
「そうよね・・・、おかしいわよね。誰が送ったのか誰も考えないなんて・・・」
「それに貴方は藤木君を一度嫌った。でもそれでも気になるって事はやっぱり藤木君が心配なんじゃないの?」
 笹山はそうかもしれないと思った。藤木が余計気になるという事はもしかして自分は・・・。
「うん、そうだったわね・・・、二人共、ごめんね・・・」
 笹山はその場で泣きながら謝った。そして恥ずかしくなり、その場から離れた。
「笹山さん!!」
 藤木は笹山を呼び止めたが、笹山はそのまま去ってしまった。
「藤木君、今はあの子も気持ちを整理させてあげた方がいいわよ」
 堀は藤木を止めた。
「うん、そうだね、あ、堀さん、僕のせいでこんな迷惑な事に巻き込んでごめんよ・・・」
 藤木はせっかくの楽しい一時を台無しにしてしまった気がして罪悪感を感じた。
「いいのよ、私藤木君のために何かしてあげたかったし、あの手紙どうすれば解決してもらえるかなって思ってたの。あれであの子が分かってくれればいいんだけど・・・」
「大丈夫だよ。笹山さんは本当は君みたいに優しいから分かってくれるよ」
「そう、あの、藤木君、あの笹山さんって子好きだったの?」
 藤木はもしかしたら堀に女たらしとでも思われて嫌われるかもしれないと嫌な予感がした。
「うん、前はね・・・。でも、もういいんだ・・・」
「そう、でも本心では藤木君を心配してると思うわ。また好きになれなくても仲直りできるといいわね」
「堀さん・・・、ありがとう」
「それじゃ、また会おうね」
「うん、じゃあね・・・」
 藤木は堀と別れた。堀は本当に自分を立ち直らせてくれようとしている。しかし、もし自分が笹山やリリィをまた好きになるようなら、堀はどうするのか。それがまた悩みでもあった。

 笹山は堀の言葉で自分勝手な事をしていた事を思い出した。藤木をそれだけ気になったという事は本心では不幸の手紙事件で藤木が心配だったのだ。
(藤木君、ごめんね、私もやっぱり卑怯な事してるわよね・・・)
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