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朝ご飯にこれか
第一章

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                朝ご飯にこれか
 北別府花火はある日家で夫であり工事現場の監督である翼徳と息子の中学でラグビーをしている雲長に話した。
「お父さんも雲長も身体動かしてるでしょ」
「俺は工事現場の監督でか」
「それで俺はラグビー部だから」
「そう、それでね」
 大柄で逞しい身体つきの父子に話した、二人共黒髪は短く丸く強い光を放つ目で唇は大きく分厚く眉は太い。実にそっくりの親子である。
「これからは朝ご飯しっかりしたものにするわね」
「別に今まででいいだろ」
 仕事だけでなくジムに通うのが日課になっている夫は一五五位の背ですらりとして黒髪は腰まであり細面で明るくはっきりした睫毛の長い目で細く長い眉とピンクの小さな唇を持つ妻に対してこう返した。
「これまで通りで」
「白いご飯とお漬けものでいいだろ」
 息子も言った。
「それで」
「朝はしっかり食べるとね」
 だが花火はこう言うのだった。
「いいでしょ、一日のはじまりだし」
「そう言うけれどな」
「朝はそんなものだろ」
「違うわよ、しっかり食べたら」
「いいっていうんだな」
「だからこれからはか」
「しっかりしたもの出すから食べてね」
 こう言って実際にだった。
 次の日朝にカレーが出て来た、夫は大きな皿の上に山盛りのそれを観て言った。
「これ食えっていうんだな」
「そうよ、食べてお仕事行ってね」
「俺もか、これ食ってか」
「部活の朝練行きなさい」
 息子にも言った。
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