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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
第7話:さらば情報部
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とうとう,俺が正式に情報部を離れる日が来た。
既に,機動6課の隊舎は完成しているので,デスクの私物なんかは
そちらに移動してある。
が,まだ機動6課そのものはまだ発足していないので,
当分は遺失物管理部付き士官という宙ぶらりんな身分になる。

「お前さんが情報部に来て3年。特務隊の部隊長として1年だったか。
 俺としちゃあもう少し手元に置いておきたかったんだがなぁ」
 
俺は離任の挨拶をしに,ヨシオカ一佐の部屋を訪れていた。

「俺も,よもやこんな形で情報部を離れることになるなんて
 思ってませんでしたよ」
 
「お前さんにとって,情報部での生活はどうだったよ?」

「そうですねぇ,最初はショックでしたよ。管理局にもこんな部署が
 あるんだなって。どんな重犯罪者といえど殺さず更生の機会を与えるっていう
 管理局の正義を絶対だと思ってましたからね。当時は」
 
「特務隊には汚れ仕事が多いからなぁ。ま,作戦部からの異動じゃあ
 ショックを受けてもしょうがないわな。・・・後悔してんのか?」
 
一佐は真剣な顔で俺に問いかけた。

「いえ,後悔はしてませんよ。まぁ,任務だったんだし,
 俺の命もかかってましたからね。ただ・・・」
 
「ただ?」

「自分が殺した人間のことは忘れないようにしてます。
 自分の手でこの人の未来を奪ったんだってのは,
 忘れちゃいけないことだと思っているので」

「お前さんも不器用だねぇ。だけど,お前さんらしいっちゃお前さんらしいか。
 もっと気楽な生き方を選んでもいいんだぜ?なぁ」
 
一佐は苦笑しながらそう言った。

「一佐ならそう言われると思ってましたよ。でも,決めたことですから」

「そうか・・・辛いぞ」

「覚悟はしてますから」

「よし!じゃあ,そろそろお別れだな。心残りはねぇか?」

「ない,と言えば嘘になりますね。特務隊の連中にはもっと
 教えてやりたいこともいろいろありましたから。
 でもまぁ,しょうがないですよ」
 
「まぁ,今生の別れってわけでもないんだ。本局に来ることがあったら
 寄ってけよ」
 
「ええ。ありがとうございます」

俺は姿勢を正すと,一佐に向かって敬礼した。

「ゲオルグ・シュミット三等陸佐,異動のため離隊いたします。
 許可をお願いいたします」
 
「許可する。新天地での活躍を期待している。ご苦労だったな三佐」


そうして,俺は一佐と握手をしてから一佐の部屋を出ると,
俺の後任の部隊長である,シンクレア・クロス一尉が立っていた。

「よう,シンクレア。見送ってくれるのか?」

「そりゃそうでしょ。2年も一緒にいた上官を見送らないわけ
 ないじゃないですか」

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