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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ダーマ
再びバハラタへ
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る。けど、それだけでは不確かで、社会的には認められない。自分はこういう職業だと他人に認めさせることで初めて、それが自分の『職業』になる」
 確かに、自分の職業が武闘家だと自信を持って言えるようになったのも、師匠から「やっと武闘家と言えるくらいにはなったな」と言われたからだ。おそらくルカも、ドリスさんに商人として認めてもらっているから商人と名乗っている。要は他人から認められればその職業に就いたことになるのだ。
「でも、中には生まれたときから職業が決められている奴もいる。そう言う生まれ持った職業のことを、『先天性職業』っていうんだ」
「先天性職業……」
 聞いたことのない単語に、再び私は首を傾げる。
「神様から与えられた職業ってところだな。だいたいは本人が産まれる前に、その母親が啓示を受ける。『あなたが産まれてくる子供は戦士として産まれてきますよ』ってね。そしてそれは、転職では変えることができないと言われている。まあそりゃそうだよな。神様の考えを否定するってことだもんな」
「なるほど……」
 饒舌に話す男性の説明に、ただ頷くしかない私。そんな勉強熱心な私の態度が気に入ったのか、男性はなおも言葉を連ねる。
「そして、先天性職業のなかでも極めて稀で、しかも転職でもなれない職業がある。それが『勇者』という職業だ」
「勇者!?」
 思わずユウリの方を振り向く。だが、当の本人は眉一つ動かさず、仏頂面で男性の話に耳を傾けている。
「かの有名なサイモンも、『勇者』として生を受け、事実魔王の城まであと一歩のところまでたどり着いた。英雄オルテガも、サイモン以上の偉業を成し遂げたってことで同じく勇者として今でも語り継がれている……って、そんなこと、おれが言わなくても知ってるよな」
 知っているどころか、本人の息子が今ここにいるのだけれど、今ここで打ち明けるべきなのだろうか。
 いつもならここでユウリが自ら「俺がその勇者だ」とか言って名乗り出るものなのだが、なぜか今回は黙ったままだ。
「それに、今ここのバーテンダーに聞いたんだが、ここの神殿の大僧正もまた、『僧侶』として神から啓示を受けたそうだ。やっぱりお偉いさんは違うよな。きっと代々の大僧正がそうなんだろうよ」
 つまり、シーラのお父さんもまた、先天性職業を持っているということだ。それなら、シーラはどうなんだろう?
「そういえば、サイモンさんの仲間のイグノーさんもここの大僧正でしたよね。その人は『三賢者』って言ってたけど、『賢者』っていうのも先天性職業なんですか?」
「いや、『賢者』というのは逆で、最初からなれる職業じゃない。おれたちみたいな一般人はある程度経験を積んでからなる後天的なものなんだが、要はそれと同じだ。ただし、誰でもなれる訳じゃない。『三賢者』という名の通り、これまで賢者になれたのはた
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