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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ダーマ
再びバハラタへ
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ると、会釈したあとそう尋ねてきた。
 ん? なんだかこの人、どこかで見たことあるような……?
「いえ、あの、私たち、人を探してまして……。ここに金髪で巻き毛の、バニースーツを着た女の子って来ませんでしたか?」
「金髪で巻き毛でバニースーツ……。いや、そんな子はここには来ていないな」
「そうですか……」
 一目で目を引くシーラの特徴を尋ねても知らないということは、どうやら本当にここには来ていないようだ。落胆した私は、がっくりと肩を落とす。すると、今の私の様子を見た僧侶が、心配そうな目で私を見ている。
「見たところ、君たちは徒歩でここまで来たみたいだな。我々ダーマの者は訪れる者に平等に接することを信条としている。もし身体を癒したければ、神殿内の休憩所で休まれるがよい」
「え、いいんですか?」
 僧侶の願ってもない提案に、私は顔を輝かせる。ユウリも何も言わないところを見ると、私と同意見のようだ。
「うむ。ついでに我がダーマの叡知を結集したこの建物を見物するといい。ここから入ってすぐ左の扉が休憩所だ」
「ありがとうございます!」
 私がお礼を言うと、門番の僧侶はすぐに扉を開けてくれた。神殿の中はとても広く、入ってすぐの扉と言われても相当の距離があった。
「あ、君!」
 門番の横を通り過ぎようとして、急に呼び止められたのは、ユウリだった。ユウリは不審そうに背中越しに振り向く。
「いや、突然呼び止めてすまない。その、君の背中に背負っている杖は、君のかね?」
「ああ、そうだが?」
 厳密にはもともとイグノーさんが持っていたものを拾ったのだが、ユウリはあえて言わなかった。
「そうか、なら呼び止めてしまってすまない。どこかで見たことがある気がしてな……」
 ここダーマの元大僧正であるイグノーさんが持っていたのなら、ここにいる人たちが知っていてもおかしくはない。けれどユウリは本当のことを伝えず、そのまま休憩所の方へと歩き始めた。
「ユウリ、この杖はイグノーさんのものだって、言わないの?」
 門番から離れた後、私は小声でユウリに耳打ちをした。彼は平然とした顔で、
「別に言わなくたっていいだろ。それに、言ったら面倒なことになる」
 そうきっぱりと言い放ったので、私はそれに従うしかなかった。
 休憩所には、すでに数人の冒険者らしき人たちがいた。部屋にはテーブルや椅子、簡易ベッドが随所に配置されていて、隅の方にはカウンターまで用意されており、お酒や飲み物、食事を嗜む人までいた。
「意外と賑やかだね」
「世界で唯一転職ができる場所だからな。あちこちから転職したい奴が集まってくるんだろ」
 とはいえ前にヒックスさんから聞いた話によると、魔王が復活した直後やサイモンさんが活躍していたころは、今では比べ物にならないくらい沢山の転職希望者がやっ
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