第2部
ダーマ
再びバハラタへ
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気楽なやつだな」
そう憂いを込めた目で言い放つ彼に、私にはどうしてユウリがそんなに神妙な顔をしているのかわからなかった。
「ユウリは二人に会うの、嬉しくないの?」
「俺が重要視しているのは、あいつらが戦力になるかどうかだ。もし戦力にならなければ足手まといのままだからな」
「でも、置いてくことはしないでしょ?」
「……必要であればそういう選択肢もある」
そう言い終わると、ユウリは前を向いて再び歩き出した。
もしそうなったら、本当に二人を置いていくつもりなのだろうか。
二人に会える喜びに胸を膨らませていたのに、ユウリの一言で一気に萎んでしまった。そして私はこれ以上深く考えることをやめ、遠くに見える山々を眺めながら、遥か向こうにあるダーマへと歩を進めるのだった。
「あそこがダーマ神殿……?」
峻険な山々の一角を切り拓いてその上に建てられたその建物は、遠くから見てもその存在がはっきりとわかるくらい真っ白な外壁で囲われており、それはまるで山頂に建つ白亜の宮殿のようだった。
神殿へと続く山道を登っていくと、次第にその広大さに圧倒される。ランシールの神殿とは比べ物にならないくらい広い敷地はもちろん、いくつもの建物が隣接して建っており、近づいてよく見ると、その外壁一つ一つに精緻な彫刻が施されていた。まるで建物全体が巨大な芸術品であるかのようなその存在に、私はただ呆然としながら眺めていた。
「まるで一つの町みたいだな」
ユウリの言うとおり、これは神殿と言うより美しい城塞都市のようだ。ダーマの大僧正の娘であるシーラは、こんなところで生活していたのだろうか。
「シーラって、めちゃくちゃお嬢様だったんだね」
「気づくところはそこなのか?」
私が素直な感想を吐くと、ユウリは横目で呆れたように言った。
山道を登り終えると、その先に神殿の入り口が見えてきた。色とりどりのガラスが装飾品として扉のあちこちにちりばめられていて、良いアクセントになっている。その豪華な扉と、山間に建つ建物としては目立ちすぎて浮くくらいの存在感だった白い外壁が、お互い丁度いいバランスとなって美しさを際出させていた。
そしてその扉の前には、一人の僧侶らしき人が立っていた。おそらくこの神殿を守る門番の人だろう。この巨大な神殿の入り口を守る人が一人で大丈夫なのかと思ったが、周りを見ると神殿を囲うようにあちこちに石像のようなものが立っている。ユウリ曰く、あれは魔物が入れないように特殊な術を込めた結界だという。エジンベアでは定期的に聖水を周辺に撒いて魔物避けとしていたが、ここでは石像自体に聖水と同じ効果が付与されており、人里離れた山奥でも魔物が襲ってくることはないそうだ。
「ようこそ、ダーマ神殿へ。君たちは転職希望の者か?」
男性の僧侶は私たちに目を留め
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