第2部
ダーマ
再びバハラタへ
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そこにはたくさんの僧侶が住んでおり、修行場としても名高い。ちなみにここバハラタからそう遠くない場所にあるという。
だが、転職できる場所であると同時に故郷である彼女にとっては戻りづらい場所だ。なぜなら彼女はそこから家出してきたのだから。
「ホントにシーラ、ダーマに行ったのかな……?」
「自分で行くと言っていたからな。だが、ここにいないということは、戻ってこれない事情があるかもしれん」
半信半疑だが、今はユウリの言うとおり、ダーマに向かうしかなさそうだ。
「ダーマまでは結構距離があるからな。ここで充分備えをしておくぞ」
そう。今私たちは、船を置いて徒歩でここまで来ている。船は何処にあるかというと、今はポルトガに戻っている。半年もの間、ずっと船を動かしてくれたヒックスさんたちにしばらく羽を休めてもらいたいとの、私たちからのお願いだった。
ヒックスさんも最初は戸惑っていたが、考えを曲げないユウリと私の説得により、申し訳なさそうにしながらも応じてくれた。
なので今の私たちの移動手段は徒歩だ。荷物も一通り持ってきているのでかなり重い。特にテドンで手に入れたイグノーさんの杖は、私には大きすぎるためユウリが背負うことになっている。
ポルトガでヒックスさんたちと別れたあと、ルーラで瞬時にバハラタに着くことは出来た。だがダーマまで行くとなると話は違ってくる。以前バハラタから盗賊カンダタのいたアジトまでは急ぎで一日ほどだったそうだが(その時私は気絶していたので覚えていなかった)、宿屋の主人に聞いたところ、そのさらに先にあるダーマ神殿までは少なくとも四、五日はかかるそうだ。さらに、神殿は人里離れた山間に建てられており、途中で立ち寄れるような町や村もないという。それでも、アープの塔に行った時よりは大分マシなのだけれど。
とにかく今は一刻も早くシーラたちに会わなくてはならない。はやる気持ちを抑えながらも、私たちは地図を頼りに最短距離でダーマへと向かうことにしたのだった。
それにしても、ユウリも半年経っても戻らなかったら置いていくとは言っていたが、結局自分からシーラたちを迎えに行こうとしている。そんな彼に、私は素直じゃないなと心の中で苦笑した。
「おい鈍足。早くしないと置いてくぞ」
急かすように声をかけられ、危うく私の方が置いていかれそうになり、慌てて彼について行く。
「やっと二人に会えるんだね」
もはやすっかり二人旅に慣れてしまった私だが、もうすぐナギやシーラと合流すれば、再び賑やかになるだろう。その様子を想像して、私は前を歩くユウリの後ろでにまにまと笑顔を浮かべていた。
「……あいつらに会うのがそんなに楽しみか?」
「えっ、なんでわかったの?」
背中越しに振り向くユウリに問うと、彼は小さくため息をついて立ち止まった。
「……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ