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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第137話:踏み出す勇気
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ない男から父親に戻った瞬間である。

 その響の笑みを見て、洸はこれが正しい父親の姿だったのだという事を漸く思い出した。

「ゴメンな、こんなに時間掛かっちゃって」
「ううん! お父さんが戻って来てくれたんだもん」
「とは言え、やっぱりまだ怖いな……ははっ」
「大丈夫だよお父さん!へいきへちゃら、だよ!」
「ぁ……」

 響が何気なく口にした言葉。口癖となっているその言葉は、そもそも洸の口癖であったのだ。響が子供だった頃から何気なく口にしていた、元気の呪文がそのまま娘に伝わっていた事に洸は己が響の父親であるのだという事を実感させた。

「そうだな……へいきへっちゃら、だ」

 繰り返す様にその言葉を口にすると、何だか心がスッと軽くなったような気になった。

 これならきっと大丈夫……そんな気持ちと共に、洸は何気なく空を見上げた。

 その空が、突如として罅割れそこから城の様な物が姿を現した。




***




 突如空を文字通り割って姿を現した城の名はチフォージュ・シャトー。これこそがキャロルの居城であり、彼女の悲願を達成する為の鍵でもあった。

「――――ワールドデストラクターシステムをセットアップ。シャトーの全機能を、オートドライブモードに固定」

 シャトー内部の玉座にて、ウェル博士がネフィリムの左腕を用いてシャトーの起動を行っていた。失われたヤントラ・サルバスパの代わりを、ネフィリムの左腕は十分に果たしてくれていた。

「ウッへへへへへへッ! どうだッ! 僕の左腕は、トリガーパーツなど必要としないッ! 僕と繋がった聖遺物は、全て意のままに動くのだッ!!」

 己の偉業を喧伝するかのように高らかに叫ぶウェル博士を、キャロルとハンスは静かに見ている。尤もハンスに至っては、見ているかどうかも怪しいが。彼は茫洋とした目で、虚空を見つめている。

「オートスコアラーによって、呪われた旋律は全て揃った。これで世界はバラバラに噛み砕かれる……!」
「あん?」

 いよいよ大願成就の時が近付いたと喜ぶキャロルであったが、彼女が無そうとしている事を今初めて知ったウェル博士は怪訝な顔を彼女に向けた。

「世界を、噛み砕く?」
「……父親に託された命題だ」

『キャロル。生きて、もっと世界を識るんだ』

「分かってるってッ! だから世界をバラバラにするのッ! 解剖して分析すれば、万象の全てを理解できるわッ!」

 今までの何処か大人びた雰囲気など何処へ行ったのか、突如見た目相応の少女のような口調で話すキャロル。その声にハンスが反応を示し、薄い笑みを顔に貼り付けた。

「つまりは至高の叡智ッ! ならばレディーは、その智を以て何を求める?」

 英雄を志すウェル博
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