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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第136話:喉元過ぎれば熱さを忘れる
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「うぉっ!?」
「ま、悩みなんてものは1人で抱えてても進展しないもんさ。何かアドバイスできるかもしれないし、これでも飲んでリラックスしなって」
缶コーヒーを手渡された洸は、そのまま男に促されるまま近くのベンチに腰掛けた。そして勧められるままに缶コーヒーを一口飲むと、冷たさと苦みが心を落ち着かせてくれた。
「ふぅ〜……」
「で、話の続きだけど?」
「え?」
「娘さんの悩みさ。何か悩んでるんだろ? それも普通とは毛色の違う悩みだ。ただ娘に反抗期が来たとかそう言う類じゃない娘本人にも話し辛い悩みとみたね」
男の言葉は不思議と洸の心に沁み込んでくる。まるで洸の心を読み、心の内にある事を先読みしたような話し方に、気付けば洸の口は抱えていた悩みを口にしていた。
「実は――――」
洸はついぽつりぽつりと、ここ最近悩んでいた事を口にした。
昔、勝手な理由で家族を捨ててしまった事。
その家族の1人、娘と偶然再会した事。
娘と再会したことで、心に再び家族を欲する気持ちが芽生えた事。
自分に懐いていた娘を介して、再び家族の仲を取り戻そうとした事。
そしてその娘に一度は拒絶され、更には見ず知らずの男からの厳しい言葉で家族に戻る事は絶望的だと思い知らされた事を、洸は男に話していた。
男は最後の厳しい言葉を投げ掛けた男の下りで首を傾げたが、話を全て聞き終えると顎に手を当てうんうんと頷いた。
「なるほど……なるほど、ね」
「見ず知らずのアンタに、こんな事聞くのもどうかしてると思うんだけど……なぁ? 俺、どうすればいい? 家族には戻りたいけど、悪いのは俺だ。勝手な理由で捨てた俺を、妻が簡単に許してくれるとは思えない。娘も、この間は怒って離れちまった。あの男が言う様に、俺は……旦那と父である事を止めて、1人で生きて行くしかないのかな?」
何だか話していて、そうするのが一番気が楽なのではないかと言う気がしてきた。1人で生きて行くのは寂しいが、全ての家族から拒絶されるという痛い目を見るくらいなら、このまま逃げてしまえば…………
「逃げ続けるってのは、しんどいもんだぜ?」
「え?」
「今アンタが考えてる事を当てようか? このまま逃げて逃げて逃げ続けて、1人その寂しさと痛みに耐えようとか考えてるんだろ? その方が気が楽だって」
正に思っていた通りの事を指摘され、ぐぅの音も出ない洸は俯いた。まるで雨に打たれた捨て犬の様な姿に、男は肩を竦める。
「さっきも言ったけど、そいつはしんどい道だぜ。終わりが無くて、一生を負け犬のまま過ごすってのは」
「分かってる……でも、怖いんだよ!? 家族に、正面から拒絶されて、存在を否定されるって思ったら……怖くて、逃げたくなるんだ」
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