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レーヴァティン
第二百六十九話 混沌と悪意の神その一

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               第二百六十九話  混沌と悪意の神
 英雄と久志はこの時大学の境内にいた、そこで今は共に和風の食堂でうどんを食べている。英雄はきつねうどんで久志は若布うどんだ。
 久志はその若布うどんを食べつつ英雄に言った。
「長かったな」
「ここまでな」
「ああ、敵の正体がわかるまでな」
 英雄にうどんの麺をすすりつつ話した、うどんは今流行りのコシのある所謂讃岐風であるがつゆは大阪風である。
「本当にな」
「そうだったな」
 英雄も言った。
「思えば」
「わかったらな」
「あいつとなるがな」
「それまでがな」
「世の中こうしたものと思った」
 英雄はうどんの中の薄揚げを食べながら思いそして言った。
「わかれば何でもないが」
「わからないとか」
「何処にあるのか何なのかとな」
「必死に思って探すか」
「それこそ部屋の隅、ゴミ箱の裏まで調べてな」
 そこまでしてというのだ。
「探す、しかしな」
「それでもか」
「探しもの調べたいものは実はもう間近にあったりな」
「知ってることだな」
「そうしたものだ」
 こう言うのだった。
「世の中とはそうしたものだ」
「そうだな、実際に俺達もそうだったしな」
 久志は英雄の言葉を否定せずに応えた。
「これまで何か何かって探してな」
「傍にあったな」
「ああ」
 実際にというのだ。
「本当にな」
「クトゥルフのことは知っていた」
 この神のことはというのだ。
「既にな」
「あちらの世界にもいるってな」
「信仰はほぼされていないがな」
「あの神話の神々自体がな」
「悪意に満ちた神々だからな」
「所謂邪神だからな」
 久志はクトゥルフの神々を一口でこう言った。
「文字通りに」
「それも他にないな」
「悪意だけでそれが底知れないな」
「とんでもない神々だな」
「ああ」
 そうだとだ、久志も答えた。
「あいつ等はな」
「本能が悪意そのもののな」
「洒落にならない邪神共だ」
「そんな神々を信仰するなぞだ」
 それこそというのだ。
「ラグクラフトの作品でも書かれているがな」
「相当おかしな奴だけさ」
「狂気に満ちたな」
「そんな奴だな」
「ネクロノミコンを書いた奴も同じだ」
 この神話に伝わる書である。
「狂気に満ちていた」
「狂えるアラビア人だったな」
「この世界では創作だが」
「あっちの世界じゃ実在していたな」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「ネクロノミコンもあるが」
「あれを信じる奴もな」
「相当なキチガイだ」
「読むだけでも狂うって言われてるぜ」
「あの神々は信仰を受けていない」
 あちらの世界でもというのだ。
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