六十六 自来也VSうちはサスケ
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。
幾重もの鉄パイプが入り組み、張り巡らされた暗闇。
何も見えないであろうその場で、ひゅっとクナイをおもむろに投擲する。
鉄パイプの陰に潜む、どこからか入り込んだ小さな蛙。
その蛙へ突き刺さる直前、蛙の影から抜き出た手がクナイを掴み取る。
サスケが投擲したクナイを易々と掴んだ男が、のそり、と蛙の影から抜け出した。
「やれやれ…まったく。“写輪眼”とは面倒な眼だのう」
見覚えのある白髪の大男。
その姿を認め、サスケは渦巻く紅の双眸を細めた。
「自来也か…」
「サスケ。こんなところで会うとは奇遇だのう」
白々しい言葉に、サスケはふん、と鼻を鳴らす。
だが内心は自来也の出現に、動揺と焦燥感が募っていた。
蛙の影に潜んでいた自来也は、息を大きく吸う。
【蝦蟇平・影操りの術】を解除し、蛙もまた逃がした後、自来也はサスケを見上げた。
長い階段の最中。
高所で佇むサスケを仰ぐ。
「サスケ。おまえは木ノ葉へ連れ帰る」
自来也の強い決意と鋭い眼光がサスケを射抜く。
その視線に内心たじろぎながらもサスケは冷静に状況を把握した。
相手の言い分から、どうやら自分がスパイとして大蛇丸のもとへ忍び込み、そして現在は『暁』に潜入している事実を、自来也は五代目火影から聞いていないようだ。
徹底的に綱手は機密事項を少人数にしか明かしていないらしい。
しかしながら今回はそれが裏目に出たようだ。
ならばサスケが取る行動は───。
「お断りだ。俺のことは放っておいて、さっさと立ち去れ」
いくら三忍と言えど、暁の奴らと単独で闘って無傷で勝てるはずもない。
ペインに気づかれていない今が好機。
サスケの一蹴を予想しても、本心は流石に推測できない自来也は「そうもいかんのう」と一歩、足を前へ踏み出した。
「おまえさんを連れ帰らんと、いつまで経ってもナルが悲しむのでな」
「…アンタが死んで、更に悲しませることになるぞ」
サスケの言葉少なの返答に、自来也は片眉を吊り上げた。
「大きく出たな。わしに勝てると思っておるのか」
「俺は…アンタにさっさと消えてもらいたいだけだ」
消える=殺すと解釈し、自来也は眼を眇める。
実際はペインに勘づかれる前にこの場から追い返したいだけなのだが、逆に火に油を注ぐ結果になってしまったらしい。口数が少ないサスケの悪い癖だ。
「お前を連れ戻し、『暁』の組織も解体する。一石二鳥だのう」
「二兎を追う者は一兎をも得ず…欲を出し過ぎると死ぬだけだ」
早々に立ち去ってもらわねばならぬ。
追い返さねばならぬ。
自来也の弟子である波風ナル。
彼女の悲しむ
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