六十六 自来也VSうちはサスケ
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た土を素手で掘る。黙々と。
地面に穴を空け、そうして埋めた。
ザク・アブミの義手を。
『そんなことをして何の意味があるっていうの?』
背後からの声に、サスケは背中越しに答える。
「意味はない」
そう、意味はない。
何故ならこれは、この義手は幻術だ。
本物の義手はキラービー…八尾化したキラービーの尾のどれかに挟まって失ってしまった。
爆発四散してしまったザクには肉片ひとつさえ残っていない。義手という唯一の形見すらない。
だから幻でつくった義手を埋めている。
この、現実ではない世界で。
掘ったばかりの墓穴に埋めている。
「ただの自己満足だ」
現実ではザクの墓に入れられるモノはない。
だからこそ、サスケは此処で墓を掘る。
「ザクはアンタの為に死んだ」
現実では何も残さなかった男の墓標を立てる。
「俺の為じゃない」
何も語らない背後の人物へ淡々と語る。
「アンタへの忠誠心から死んだんだ」
サスケの語りに、背後の影は一度口を開き、そして閉ざした。
「それを、アンタだけは憶えておけよ」
サスケはザクの墓に背を向け、男の横を通り過ぎる。
すれ違い様に何か一言言おうと口を開きかけ、結局やめた。
そうして、サスケの作った墓を見下ろす。
幻術でつくられた義手を…かつて自分がカブトに命じて与えたソレを見つめ、顔を伏せた。
『馬鹿な子よ…』
かつてザクを拾い、サスケを乗っ取ろうとして返り討ちに遭い、逆に抑え込まれてしまった三忍のひとり。
───大蛇丸はザクの墓を見下ろして呟いた。
『本当に…馬鹿な子…』
眼を開けた。
どうやら意識を失っていたらしい。
ほんの数秒か、もしくは永い時間か。
キラービーこと八尾の回収に出向き、そこで負った深手の傷で体力も気力もチャクラも随分と消耗してしまった。
ザクを犠牲に生き永らえ、雨隠れの里へ舞い戻ったところで力尽きたところまでは憶えている。
けれどサスケが眼を覚ましたのは、深手の傷の痛みからでも、意識を取り戻したからでもない。
気配を感じ取ったからだ。
本来、此処にいてはいけない者。
此処に来てもらっては困る存在。
「サスケ、どうした」
肩を貸してくれているアマルの怪訝な顔には目もくれず、サスケは足を止めた。
雨隠れの里に多くある塔のひとつ。階段を登ろうとしていたその足先が、下の広間へ向く
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