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レーヴァティン
第二百六十八話 神託が教えたことその十

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「知性は高い筈だが」
「文明的でも理性的でもないっちゃ」
「悪意に満ちているが」
 このことは事実だがというのだ。
「下手な魔物以上に本能的でだ」
「考えたりしないっちゃな」
「だからお互いに手を結んだりな」
「そうしたこともしないっちゃな」
「ただ悪意のままに全てを壊す」
「策謀を使っても」
「それは無意識の悪意によるものでな」
 そこから生じるものであってというのだ。
「人間的なそれではない」
「本能的っちゃな」
「怪獣の心が悪意になった様な」
 怪獣は俗に自然現象の具体化であるという、妖怪にしてもそうであるという。
「そうした連中でだ」
「人間的な策略は使わないっちゃ」
「しかしナイアーラトホテップは違う」
 この神はというのだ。
「悪意に満ちていることは同じだが」
「これが人間的や」
 耕平が答えた。
「あの神だけはな」
「狡猾でな」
「文明にも通じていてや」
「人間的な知性もだ」
 これもというのだ。
「備えている」
「そやからやな」
「あの神は動くかも知れない」
「そう思うか」
「だからな」
 それでというのだ。
「俺としてはな」
「あの神にも警戒するか」
「そうしたい、クトゥヴァやアザ=トースは動かない筈だ」
 こうしたクトゥルフ神話の高位の神々はというのだ。
「お互いに助け合うことはない」
「あの連中はそやな」
「それどころかだ」
「互いに潰し合う様やな」
「甲殻類同士を見合わせた様にな」
 この種類の生きもの達は例え同じ種類であっても同じ水槽に入れると殺し合う、蟹とザリガニ同士でもそうだが蟹同士及びザリガニ同士でも同じだ。
「そうした風にだ」
「潰し合うな」
「本能のままにな」
「そんな神々やな」
「そこが他の神話の神々と違う」
 こう指摘するのだった。
「他の神話の神々は姿に関わらず人間的だ」
「その性格や行動がな」
「特に日本やギリシアの神々はな」
「まさにな」
「しかしだ」
 それがというのだ。
「あの神話は違う」
「人間的なもんはほぼない」
「大抵の神がな」
「しかしその中でな」
「ナイアーラトホテップだけが違う」
「それでやな」
「あの神についてもな」
 英雄は話した。
「警戒すべきか」
「そうやな」 
 耕平も頷いた。
「それがええな」
「そうだな」
「用心は重ねることや」
 まさにというのだ。
「慎重にや」
「慎重を期すべきだな」
「それこそ石橋を叩いてや」
「渡る様なだな」
「慎重さがや」
 それがというのだ。
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