第二章
[8]前話
「今日早いのよね」
「ああ、定時に終ると思うよ」
サラリーマンの夫はネクタイの締まり具合を確認してから答えた。
「今日はね」
「晩ご飯の前に」
家から帰ったらというのだ。
「ちょっといいかしら」
「おい、積極的だな」
「今のあなた見てたら」
そうしていると、というのだ。
「むらむらしたから」
「僕がスーツ着たらか」
「正直ジャージ姿には何も思わないわ」
昨日のことをここでも話した。
「けれどね」
「スーツ姿はか」
「くるのよ」
「そうなんだな」
「ええ、だからね」
「今日はか」
「早く帰って来てね、それで帰ったら」
「晩ご飯前に少しして」
そうしてというのだ。
「食べたら英雄お風呂に入れてあげたら私が行くから」
「それで二人でか」
「お風呂場でね」
「じゃあ」
行成も好きな方だ、しかも相手は妻一人と決めているので断らなかった。
「すぐに帰って来るよ」
「待ってるわね、私もパート行くけれど」
「それでもだね」
「帰ったらね」
こう言ってだった。
夫と息子の三人で朝食を食べて一日をはじめた、そして夜はだった。
夫に自分から求めて夕食前に軽くそして夕食後の入浴時に濃厚に楽しんだ、そしてベッドの中で夫に言った。
「あなたのスーツ姿ってね」
「いいんだね」
「ぐっと来るわ、ジャージ姿には何も思わなくても」
「スーツだとだね」
「まるで別人みたいにね」
そこまで違っていてというのだ。
「感じるのよ、よかったら休日も」
「いや、休日はくつろぎたいから」
夫は妻に笑って返した。
「ジャージでいるよ」
「それは残念ね」
「けれど仕事の時はスーツだから」
「その時にっていうのね」
「それでいいよね」
「お仕事の日の方がずっと多いし」
妻も言われて頷いた。
「それじゃあね」
「そういうことでね」
「わかったわ、じゃあ寝ましょう」
こう話して満ち足りた気持の中でだった。
直美は夫の横で眠りに入った、そして夢でも夫に会ったがその時の夫はスーツ姿だった。それで起きると自然と笑顔になっていた。そして朝スーツ姿の夫を見てまた笑顔になったのだった。
スーツだと別人 完
2022・11・27
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