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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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た。
それを透は目の前で覆した。
〈アーマースペシャル、ナーウ〉
透が使用する新たな魔法。それは以前まで使用していたスペシャルの魔法の改良版であった。
以前のスペシャルでは、透は脱着自由で且つ即座に再生する鎧を上から纏い防御力と攻撃力を引き上げる反面、スピードを犠牲にするという彼本来の持ち味を殺す姿にしかなれなかった。
だがこの魔法は違う。ファントムの力と手を取り合った彼は、その力を自身に最も最適な形で使えるようになっていた。
本来のデュラハンファントムの鎧に比べて、スッキリとしたスマートな鎧が上からメイジを覆い隠す。動きを阻害しない、軽くて丈夫な鎧を身に付けた透は着心地の良さに満足そうに頷くとクリスに手を差し出した。
「透……」
「後輩や恋人を求めちゃいけないなんて、そんなの勝手に決めないで欲しいデスよ」
「私達はクリス先輩だからついて行くんです。透先輩だって、クリス先輩だから好きなんですよ」
スッキリとした心に、切歌と調の言葉が沁み込んでくる。夏場の暑い盛りに飲む水の様に爽やかな感覚に、クリスの顔は自然と笑みを形作っていた。
「――そっか。アタシみたいのでも先輩をやれるとするならば、お前達みたいな後輩が居てくれるからなんだな。そんなアタシだから、透は……」
クリスは前に歩き出し、透の手に自分の手を優しく乗せた。その光景は正しく、1人の騎士が姫君を誘う一幕の様であった。
「もう怖くないッ! イグナイトモジュール、抜剣ッ!」
【DAINSLEIF】
透に頷き返し、クリスはイグナイトモジュールを起動させる。光の楔がクリスの胸に打ち込まれ、魔剣の呪いが彼女の心身を蝕んだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
体と心を苦痛が駆け巡るが、彼女の心に恐れや絶望はもう存在しない。
――あいつらが……アタシをギリギリ先輩にしてくれる。……透が、アタシを愛して包み込んでくれてる――
傷付きながらも自分を支えようとしてくれている、切歌と調の2人の存在。そして何より、今も尚自分の手を握ってくれている透の温かさを身近に感じ、クリスは心身を苛む呪いを跳ね除けた。
――そいつに応えられないなんて……。他の誰かが許しても、アタシ様が許せねえってんだッ!――
そしてクリスのギアが変化する。イグナイトモジュールの起動に伴い、黒く変色したギアはどこか暴力的な刺々しさを持ち、全身を燃え上がる炎の様なオーラで包んでいる。
そんなクリスに、透は頷くと取っていた手を仮面の口元にそっと持って行く。ちょっとした景気付けだ。
普段透がやらないような気取った行動に、クリスも負けじと笑みを浮かべて応えた。
「へっ! 行くぞ透ッ!」
両手に持ったアームドギア
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